英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第12回 日本IVF学会

  • ICSI施行後3前核が見られた胚のDay3割球における染色体倍数性の解析
  • 平成21年9月12日~9月13日 江陽グランドホテル4F・5F
  • 第12回 日本IVF学会
  • 水田真平、後藤 栄、橋本洋美、黒田泰史、松本由紀子、梅影秀史、苔口昭次、棚田省三、塩谷雅英


    英ウィメンズクリニック

【発表の概要】

【目的】
ICSI施行後の受精判定の際に前核を3個認める胚(以下ICSI 3PN胚)がある。ICSI 3PN胚の原因として極体(PB)放出不全が多いとされているが、この場合は染色体の倍数性異常をきたすことになる。他に、核膜や細胞骨格の異常もICSI 3PN胚の原因となりうるが、この場合、染色体数は正常となる可能性もある。そこで、ICSI 3PN胚の染色体数的異常の有無について、PB数別、cell数別に検討した。
【材料および方法】ICSI施行の約18時間後に3前核が確認された廃棄予定の胚で、患者の同意が得られた37個の胚を対象とした。解析はFISH法にて行い、probeにはVysis社のCEP 18/X/Yを用いた。
【結果】
 PB数別の染色体の倍数性の検討では、1PB胚では2nが6.7%(1/15)、3nが33.3%(5/15)、3nを含むモザイクが26.7%(4/15)、nが6.7%(1/15)、無秩序なモザイクが26.7%(4/15)であった。2PB胚では、2nが10.5%(2/19)、3nが26.3%(5/19)、3nを含むモザイクが31.6%(6/19)、4nを含むモザイクが5.3%(1/19)、無秩序なモザイクが21.1%(4/19)、その他の染色体異常が5.3%(1/19)であった。PB数不明胚は、3nが33.3%(1/3) 、3nを含むモザイクが66.7%(2/3)であった。
 cell数別の染色体の倍数性の検討では、2-4cellの胚では3nが41.7%(5/12)、3nを含むモザイクが33.3%(4/12)、無秩序なモザイクが16.7%(2/12)、その他の染色体異常が8.3%(1/12)で2nは認められなかった。5-7cellの胚では、2nが7.7%(1/13)、3nが23.1%(3/13)、3nを含むモザイクが23.1%(3/13)、nが7.7%(1/13)、無秩序なモザイクが38.5%(5/13)であった。8cell以上の胚では、2nが16.7%(2/12)、3nが25.0%(3/12)、3nを含むモザイクが41.7%(5/12)、4nを含むモザイクが8.3%(1/12)、無秩序なモザイクが8.3%(1/12)であった。
【考察】
ICSI 3PN胚全体では2nは8.1%(3/37)に認められ、3個の胚はそれぞれ、1PB 8cellと2PB 8cellおよび2PB 7cellであった。ICSI 3PN胚の多くが倍数性異常胚であったが、2n胚も3個認められた。このことより、ICSI 3PN胚の中には正常に発生する胚が含まれている可能性が示唆された。PB数は2n胚を予測する上で指標にはならなかったが、発生速度の早い胚に2n胚が認められる傾向が見られた。これらのことより、発生速度は判断基準の一つになり得る可能性が示唆された。

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