英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第3回 日本生殖医療支援システム研究会

  • 培養業務に用いているデータベース管理システムとART取り違え防止システムについて

  • 平成27年5月17日(日) ANAクラウンプラザホテル神戸
  • 第3回 日本生殖医療支援システム研究会
  • 向井美紗

 

【目的】

培養業務においては、卵巣刺激や採卵、培養記録、移植、凍結、黄体補充などさまざまなデータの管理が
必要である。これまで、当院では、ARTの管理を紙媒体の培養記録とデータベース管理システム(ファイルメーカー社;ファイルメーカー以下FM) を用いて管理していたが、データが分散しており、データの管理が困難であった。そこで、2011年1月より院内LANを利用し一元的にFM単独で、培養業務に必要なデータの管理を開始した。

また2014年9月より、配偶子・胚の取違え防止を強化する目的で、バーコード認証システム(旭テクネイオン社:ART取り違え防止システム)を導入した。今回我々は、培養業務に用いているFMとバーコード認証
システムの特徴および、当院での実際の運用方法について報告する。

 

【方法と結果】

FMを運用していく中で、FMにおけるデータ管理の利点として以下の点が挙げられる。
①データの統一:ARTに関する全てのデータをFMで統一して管理でき、総合的な判断が容易である。
②データの共有:院内LANを用いて、部門内及び部門間のデータの共有が可能である。③胚画像の保存:
胚観察時に、その場で胚画像をデータとして保存し、FM内に取り込むことができ、胚観察時における記録が容易となった。④データの解析:培養状態の指標である、受精率や分割率、良好胚率、胚盤胞発生率などは、FMの計算機能により、リアルタイムに表示する事が可能であり、培養成績の解析が容易である。
⑤検索機能:いつどこでも登録されている情報からの検索が容易である。また、デメリットとしては、
システム異常の発生や、データの誤入力などが挙げられるが、当院では、自動でバックアップを1日2回取得することでシステム異常に対応し、また、データ入力後の再確認や入力(アクセス)権限をもたせることで誤入力にも対応している。
また、培養業務では常にダブルチェックでの確認作業を行なっていたが、ART取り違え防止システムを
導入し、人による管理にバーコードでの認証システムを加えたトリプルチェックによって管理を行って
いる。
精液調整、採卵、移植、体外受精・顕微授精、凍結・融解時などすべての培養業務において、FMに設けた
2次元バーコードと精子チューブや培養Dish、更に凍結時に使用するストローなどにバーコードを貼付し、
本人確認照合を行っている。全ての照合は専用システム内に記録として残しており、いつ、誰が、どこで、どの操作の照合をしたか容易に確認することができる。

 

【まとめ】

FMの導入により、培養業務における情報共有、記録、解析が容易となり、部門内や部門間の情報の共有化、臨床研究へのデータの有効活用などをより一層進めることができた。また、バーコード認証システムによる管理体制を導入したことで、従来の人によるダブルチェックに加え安全性を強化することができ、安心した治療を提供できるようになった。
今後、更にFMの機能を利用したシステムの構築を行っていくと共に、安全で且つ質の高い胚培養を提供できるように目指していきたい。

 

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