英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

不妊治療の知識

不妊治療の知識

月経のトラブル

正常な月経とは

子宮の内膜は、卵巣からの卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が周期的に働いて、分厚くなります。これは受精卵がやってきた時のためにフカフカのベッドを用意しておき、受精卵を子宮内に着床させて妊娠を成立させるためなのですが、妊娠が成立しなければ内膜は古くなり寿命が来て、剥がれ落ちます。これが月経です。

(1)月経の周期

月経の周期とは、月経の開始日から次の月経が始まる前日までの期間の長さを指します。正常な月経周期はその期間が25日以上38日以内の場合です。この範囲内で月経がある場合は、通常は排卵もきちんと起こっているものと考えます。

(2)月経の量

ナプキンを30分~1時間ほどで交換しなければならない、夜用ナプキンでも寝具が汚れてしまう、レバーの様なもの(凝血塊)が出る等は月経血量が多いサインで、過多月経と言います。反対に、月経血の量が極端に少ない場合を過少月経と言います。

(3)月経の持続期間

正常な月経持続期間は3日以上7日以内とされています。

(4)月経痛などの随伴症状

月経中には多少の腹痛、腰痛、頭痛、悪心などの症状はあるものですが、日常生活に支障をきたさないようであれば異常ではありません。しかしこれらの症状が強く、日常生活に支障が出る場合を月経困難症といい、治療が必要となります。

 

月経のトラブル

(1)無月経

平均的には12~13歳までに初経がありますので、18歳になっても月経がない場合は異常と考えて、産婦人科で検査を受けられるのが良いでしょう。このように初経がみられない場合を原発性無月経といいます。一方、初経後しばらくは順調にあった月経がなんらかの理由で止まってしまったもの(90日以上月経がない場合)を続発性無月経といいます。
原発性無月経の原因としては、まずは妊娠がありますが、その他としては、性器の形態異常(子宮や卵巣が先天的に欠如している、膣がない、子宮奇形など)や染色体異常..(ターナー症候群)などがあります。
続発性無月経は、臨床の現場ではめずらしいものではありません。受験勉強、引っ越しや就職などによる環境の変化、失恋や過度のダイエットなどによる精神的・肉体的ストレスにより月経が一時的に止まってしまうことがあるのです。

(2)月経不順
希発月経

月経がたまにしか来ないという意味で、月経周期が40~60日と長い場合です。このような状態の多くは月経が始まってから排卵するまでの期間が長く、排卵後14日前後で次の月経が来ていることが多いのですが、中には排卵が起こっていない無排卵性出血のこともあり、基礎体温をつけて高温相がちゃんとあることを確認することで排卵を確かめることが出来ます。

頻発月経

月経または月経様の出血が頻繁にある場合です。このような場合は、無排卵性出血のことが多く、また無排卵性の場合、出血が10日以上だらだらと続き、月経痛がないことが多いです。

無月経

月経が90日以上来ない場合です。原発性と続発性があることは前に述べました。ここでは続発性について述べます。続発性無月経の多くはモルモンの機能が低下しており、この状態を半年以上放置しておくとホルモンの失調がますますひどくなり、治りにくくなってしまいます。

不正出血

月経以外の出血がある場合です。考えられる原因としては、1.ホルモンの異常、2.ポリープ、3.子宮筋腫、4.子宮内膜症、5.クラミジアによる炎症、6.子宮癌、卵巣癌があります。まずは不正出血の原因を調べ、その原因に対する治療を行うことが必要です。

(3)月経困難症

月経痛(腹痛、腰痛)がきつかったり、悪心、嘔吐、頭痛、倦怠感などがひどく、日常生活に支障を来す場合を月経困難症といいます。月経困難症には以下の2種類があります。

機能性月経困難症

診察では何らかの病的な異常は発見されない、いわゆる生理痛をいいます。排卵が起こると卵巣から2種類のホルモン(卵胞ホルモン(エス..トロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン))が分泌されます。これらが子宮内膜に作用して受精卵が着床するためのベッドとなるよう内膜の状態を変化させていくのですが、このとき黄体ホルモンの働きによって子宮内膜の中にプロスタグランディン(Pg)という局所ホルモンが増加します。このPgが子宮内膜を収縮させて腹痛や腰痛、悪心などの症状を引き起こします。

器質性月経困難症

子宮内膜症や子宮筋腫など器質的な異常が原因で起こる月経困難症をいいます。徐々に月経痛がひどくなったり、月経量が増えてきているようであれば、子宮筋腫や子宮内膜症がないか、診察を受けた方がよいでしょう。子宮筋腫はその大きさや 場所によって症状がさまざまで、比較的若い人にもみられます。子宮内膜症は年々増加傾向にあり、20代の前半からあります。放置しておくと病変部が広がり、将来的に不妊症などになってしまう場合もありますので、経過観察で良いのか、積極的な治療が必要なのかを診察を受けて診断してもらいましょう。

月経困難症の治療

まず、月経痛の原因が特に異常のみつからない機能性月経困難症であるのか、原因がある器質性月経困難症であるのかを診断することが必要です。その上で、器質性月経困難症にはその原因に合わせた治療を行います。機能性月経困難症の場合は、以下のような治療を行います。

  • 痛み止め(鎮痛薬)の使用

まず、痛みの原因となるプロスタグランディンをブロックするプロスタグランディン阻害薬(ボルタレンやロキソニンなど)を使います。
この場合、月経痛がひどくなってからでは、なかなか効果が上がりませんので、痛くなりそうだなと思ったら、早めに飲むことが肝心です。この方が効きがいいので結果的に薬の量が減ります。癖になるのではと心配して、痛みを極限まで我慢してしまう方がいますが、癖になることはありません。薬は早めに飲みましょう。

  • 低用量ピル

避妊薬として販売されている低用量ピルを、月経困難症の治療として用いることが多くなってきています。ピルは排卵をほぼ100%押さえることによって、卵巣からの黄体ホルモンの分泌が減り、したがって痛みの原因となるプロスタグランディンの生成が抑えられます。また、内膜を薄い状態に保ったまま生理になりますので、月経量が減ります。また、子宮内膜症の進行を抑える効果もあります。

  •  漢方薬

どのような漢方薬が効果があるかは、その方の体質(証)によるのですが、漢方薬が合った場合は、驚くほど月経困難症が改善される場合があります。また、月経不順も直る場合があります。よく処方されるものは、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散などです。漢方薬は食前または食間にお湯で飲むのが効果的です。

  • 月経前緊張症

月経の始まる何日か前からイライラや倦怠感、気分の落ち込み、むくみや下腹部の違和感などがきつくなり、月経の開始とともに症状が軽くなっていく場合を月経前緊張症といいます。黄体ホルモンの影響でこのような症状がでるといわれています。症状の改善には月経困難症と同様に、ピルや漢方薬が用いられることが多いですが、精神的な症状が重い場合は、カウンセリングや精神安定剤、抗うつ薬が有効な場合もあります。

  • 月経量・月経期間の異常

月経の量が多い、過多月経の原因としては子宮内膜症の一種である子宮腺筋症や子宮筋腫などの子宮の病気があります。この場合、月経期間が8日以上と長いこともあります。器質的な病気がない場合もあり、その場合は主にホルモンバランスの乱れが原因です。反対に、月経量が極端に少なく、月経期間も2日ほどで終わってしまうような場合もあります。この場合の原因は、排卵が起こっていない、人工妊娠中絶などの手術によって子宮内膜が癒着している、ホルモンのバランスが乱れてきているなどが考えられます。

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