基本的には全ての検査項目を調べる必要があります。ただし抗リン脂質抗体は自費の項目が多いため、1項目でも陽性項目があれば治療方針は抗凝固療法となりますので、経済的負担を考慮して先に保険適応のある項目から調べるようにします。これらに異常がなければ自費検査項目にすすむと良いでしょう。ただし、実際は自費検査項目での陽性率の方が高くなっています。
自己抗体(補助検査項目)は、自己免疫疾患の除外のために行うものです。自己抗体が陽性の場合、リンパ球輸注は禁忌となります。
年齢、不妊治療歴、患者様の御希望により全ての検査項目を検査するか選択して検査するかを相談します。
基本的に医学的には流産検査および治療の対象にはなりません。ただし、流産にたいする不安が強く、検査の御希望のある場合には検査を進めることもあります。
(追記)抗リン脂質抗体は正常妊婦さんでも5%の陽性率(習慣流産の患者では約20%)です。従いまして、検査を行い異常と判明した場合、どのような治療を選択するか難しい所です。この場合、通常アスピリン療法のみをお勧めすることになります。
抗リン脂質抗体症候群の診断基準..(1998)
1. 抗カルジオリピン抗体陽性
2. ループス抗凝固因子陽性
基礎疾患の有無を問わず、経過中に臨床所見4項目中1項目以上をみとめ、かつ抗リン脂質抗体のうちいずれか1項目を認める場合に、抗リン脂質抗体症候群とする。
受精卵は母体にとっては自分とは異なる遺伝子をもった異物とみなすことができます。従って、体の中に異物が入って来たときにそれを排除する母体の免疫的拒絶反応によって流産が起こることがあります。しかし、通常の妊娠では、妊娠がうまく継続するために「よい免疫反応」が成立し、流産が起こらない仕組みになっています。血液中の「遮断抗体」を測定することによって「よい免疫反応」の成立を期待できるかどうか分かります。
「免疫療法」は、ご主人の血液中のリンパ球を、奥様に皮内注射するという治療法です。一種の輸血療法ですので、輸血と同じリスクを伴います。治療前にはご主人の感染症の検査を行います。