不妊治療の知識

4月のおはな

胚培養スタッフより

胚培養スタッフより

当院胚培養スタッフからお届けするコラムです。一般の治療ではなかなか見えにくい部分をお届けしています。

タイムラプス胚培養とは(2017年4月)

従来の受精卵の観察では培養器外に胚を取り出して観察を行うことで、
培養の環境が変化し、受精卵にストレスを与えてしまいます。また、顕微鏡下で観察をする際に、受精卵が光に当たることも受精卵にとってストレスとなります。タイムラプス培養では胚を取り出したり、不必要に光を当てずに静かな環境で培養と画像撮影を行うことができます。当院ではEmbryoScope(Vitrolife社)(図1)とPrimoVision(Vitrolife社)(図2)を採用しております。
図1
(図1)
図2
(図2)
タイムラプス培養でわかること
従来の胚培養法では観察し得なかった胚の発生速度や割球の分割様式などを図3のように確認することができます。異常な分割としてまれに1細胞から3細胞への直接的な分割や2細胞から5細胞への直接的な分割があります(図4)(表1)。このような異常な分割が見られた胚は胚盤胞到達率が低くなることが分かっています。
図3
(図3)
図4
(図4)
表1  1細胞から3細胞および2細胞から5細胞へ分割した異常分割胚の発生頻度
        1細胞から3細胞       2細胞から5細胞
個数(%)     13/263(4.9%)       11/263(4.2%)
従来の胚培養・観察方法ではこのような分割様式をとる胚を鑑別することは出来ませんでした。タイムラプスシステムを導入することで胚の発生速度や異常な分割様式をとる胚を観察できるようになりました。タイムラプス培養と形態的な胚グレードの評価を組み合わせることで、妊娠しやすい胚の選択が可能となります。
培養部門 佐東春香