英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第18回 日本臨床エンブリオロジスト学会

  • 新規凍結保護物質カルボキシル化ポリリジンを用いたガラス化凍結法の検討
  • 平成25年1月12日(土)、13日(日) 静岡県 アクトシティ浜松
  • 第18回 日本臨床エンブリオロジスト学会
  • 辻 優大1)・緒方洋美1)・古橋孝祐1)・十倉陽子1)・山田聡1)・緒方誠司1)・


    水澤友利1)・松本由紀子1)・岡本恵理1)・苔口昭次1)・塩谷雅英1)・松村和明2)・


    玄丞烋3)







    1)英ウィメンズクリニック


    2)北陸先端科学技術大学院大学


    3)京都工芸繊維大学 繊維科学センター

【発表の概要】

 

【目的】

胚や卵子のガラス化凍結保存においてはEthylene Glycol(EG)やDimethyl Sulfoxide(DMSO)が凍結保護物質(CPA)として広く用いられている。しかしDMSOは凍結液における浸透圧の上昇など、細胞毒性が懸念されてきた。近年、DMSOに代わるCPAとして、カルボキシル化ポリリジン(PLL)がマウス繊維芽細胞やiPS細胞の凍結融解後の生存性において有効であることが報告されている1,2)。そこで本研究では、ヒト胚への応用を最終目標に、PLLがマウス胚の体外発生に及ぼす影響について検討を行った。

 

【方法】                                    

凍結されたICR系マウスの8細胞期胚を融解後、再度凍結し検討を行った。

<検討1>PLLの濃度検討:167個の胚を実験に供した。7.5%EGと7.5%DMSOを含んだ平衡化液(ES)にて6分間平衡化した後、0.5M Sucroseと15% EG を含んだガラス化液(VS)に、15% DMSOを添加した群(DMSO区)、DMSOを添加せず5%、10%、15%、20%、25% PLLを添加した群(PLL区)にわけ、それぞれ60秒浸漬し凍結した。その後、融解し生存率及び胚盤胞発生率について検討した。

<検討2>PLLの毒性検定:DMSO区及び各濃度のPLL区から得られた胚盤胞は、DNA核をDAPI染色し、更にCaspase3/7に対する抗体染色法を行いアポトーシス細胞数の検出を行った。

 

【結果】

<検討1>DMSO区と各濃度のPLL区の生存率はそれぞれ90%以上で、胚盤胞発生率は75%以上となった。DMSO区とPLL区に差はなく、また、PLL区の各濃度における差も認めなかった。

<検討2>DMSO区と各濃度のPLL区の平均アポトーシス細胞数は約7%であり、DMSO区とPLL区に差はなく、また、PLL区の各濃度における差も認めなかった。

 

【考察】

マウス胚において各濃度のPLLは、DMSOと同等の成績であったことから、DMSOに代わるCPAになる可能性が示唆された。今後は、ヒト胚に対するPLLの影響及びPLLの最適濃度の検討を重ねていきたい。

 

【文献】

1). Matsumura K, et al. Biomaterials. 2009: 30; 4842-4849.

2). Matsumura K, et al. Cell Transplant. 2010: 19; 691-699.

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