研究開発・学会発表

6月のおはな

第34回 日本受精着床学会総会・学術講演会

学会名

第34回 日本受精着床学会総会・学術講演会

日・場所

平成28年9月15日(木)~16日(金) 軽井沢プリンスホテルウエスト

タイトル

より効率の良い精子調整法の検討

発表者名

横田梨恵、古橋孝祐、辻優大、大月純子、伊藤宏一、水澤友利、松本由紀子、苔口昭次、
塩谷雅英

[目的]

現在、当院では体外授精の精子調整において良好運動精子獲得のため、単層パーコール法(600g)の後にswim up法を採用している。しかし、工程が多くなり、複数人のスタッフが関われば業務が煩雑となり、取り違えなどのミスが起こる恐れがある。そこで、作業を簡便かつ効率的にするため、2層パーコール法(300g)単独による精子調整法を検討し、従来法との比較を試みた。

 

 [方法]

検討1: 2層パーコール法(2層法)の条件確立を行い、作業時間および精子調整前後の所見について従来の単層パーコール-swim up法(従来法)と比較した。単層(90%)、2層パーコール(下層90%、上層45%)それぞれに精子を1.5ml重層し、遠心後上清除去および培養液洗浄を行った。媒精濃度は従来法、2層パーコール法共に10×104/mlにて行った。検討2: 2015年11月から2016年2月の採卵において、精液所見が運動精子濃度10×106/ml以上かつ回収卵数が4個以上のIVF48症例回収卵子495個を対象とし、培養成績を比較した。

 

[結果]

検討1: 射出精液の平均pHが7.97±0.23(n=14)であったことから、2層パーコールのpHを8.0に設定した。2層法は従来法と比べて調整時間が15~40分短くなり、精子調整後の平均運動精子濃度は2層法にて有意に高くなった(p=0.008)。検討2: 2層法群と従来法群における受精率は77.5%と72.2%、分割率は88.0%と86.6%、良好分割率は60.9%と61.7%、胚盤胞率は57.4%と57.9%、良好胚盤胞率は23.0%と28.8%であり、両群間において有意差は認めなかった。

 

[結論]

業務が簡便かつ効率的になったことで、人為的ミスや取り違えの防止につながることも考えられた。また、2層法の運動精子回収率は従来法に比べ有意に高く、受精、胚発生率において有意差を認めなかったことからも、2層パーコール法は精子調整に有用であることが示唆された。