英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第19回 日本 IVF学会

  • Time-lapse観察による新奇発見と臨床応用
  • 2016年10月1日(土)~ 2日(日) 神戸国際会議場
  • 第19回 日本 IVF学会
  • 大月純子

インキュベーター内設置型およびインキュベーター一体型顕微鏡の開発により、これまで困難であった胚発生過程の経時的変化を記録観察できるようになった。これにより、reverse cleavage, direct cleavageなど様々な現象が捉えられ、胚評価および良好胚選別の一助として臨床応用されつつある。しかしながら、細胞分裂時間などのtime-lapse algorithmは施設間差があり、施設ごとの評価基準が必要であることが報告され (Liu Y et al., Reprod Biol. 2015; Sato H. et al., JMOR 2016)、ユニバーサルな評価法が望まれる。
本シンポジウムでは我々がこれまでに行ってきた解析結果のうち、ユニバーサルな評価が可能である以下の新奇着目点について述べる。

出産に至った接合子の雌雄2前核核膜消失直前の大きさはほぼ等しい

雌雄2前核の確認は通常受精から16-18時間後に行われるが、前核の大きさは雌雄2前核核膜消失(PNMBDの直前まで変化する。よって、タイムラプス観察によりPNMBD直前の大きさと出産に至った接合子との関連を調べた結果、出産に至った胚におけるPNMBD直前の雌雄2前核の面積はほぼ同等であることが判明した。また、出産に至った胚の雄性前核は前核消失から8時間前、4時間前の段階では雌性前核より有意に大きく、その差は経時的に縮まり核膜消失直前にはほぼ同じサイズになることが判明した。これらのことから、PNMBD直前の雌雄2前核面積が同等であることが、出産に至る胚の選別法の一つとして有用であると考えられた (Otsuki J. et al., 投稿中)。

胚盤胞内細胞塊のグレードと細胞間結合のゆるみが一絨毛膜二羊膜双胎に関連している

一卵性一絨毛膜二羊膜双胎(MD双胎)はARTで起こる率が高いことが報告されている。胚盤胞までの長期培養、ICSI、AHなどが起因しているという報告がある一方、それらは関連しないという報告もあり、ARTにおいてMD双胎が起こるリスク因子は未だ確定されていない。よって、胚盤胞内細胞塊(ICM)に注目した解析を行ったところ、MD双胎のリスク因子を模索した結果、MD双胎率はICMのグレードがAの場合、ICMグレードがBまたはCの場合に比べて有意に低いことが判明した。また、一卵性MD双胎となった胚のタイムラプス記録を詳細に調べたところ、ICM細胞間結合のゆるみがMD双胎発生頻度を上げる一因である可能性が示唆された(Otsuki J. et al., F&S in press)。

二種類のreverse cleavage

Reverse cleavage は「細胞分裂の際に細胞数が減少する状態」、もしくは「細胞分裂後に割球が吸収される状態」と論文上で説明されている。しかし、reverse cleavageには細胞分裂が完了しているものと、細胞分裂に失敗しているものの2種類があり、区別して分析する必要がある。この点に着目した解析結果も紹介予定である。

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