英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第11回 日本生殖再生医学会学術集会

  • PGD(PGS)のための胚生検の実際
  • 2016年3月6日(日) シェーンバッハ・サボー(東京都)
  • 第11回 日本生殖再生医学会学術集会
  • 後藤優介、塩谷雅英


近年、高度生殖医療技術(ART)の対象患者は増加するとともに平均年齢が高齢化しつつある。
このような背景の中、注目されている技術が着床前診断 (PGD) および着床前スクリーニング (PGS) である。

PGD/PGSは、これまでFISH法(Fluorescence in situ Hybridization)により行われてきた。
しかしながら、FISH法は、術者の経験により診断の精度にばらつきがあることや、診断できる染色体の数が限られることなどに問題があった。そこで近年FISH法にかわる技術としてarray CGH法(Comparative Genomic Hybridization)が注目されている。 array CGH法は全染色体を網羅的に解析することができ、FISH法と比べより正確な情報を得ることが可能である。また、海外では次世代DNAシークエンサー(Next Generation Sequencer:NGS)を用いたより高精度な解析に移行してきている。

PGD/PGSの重要な工程が胚生検(バイオプシー)である。バイオプシーの時期については初期胚か胚盤胞のいずれかに分かれる。初期胚は8細胞程度まで分割してきた胚から1~2割球を採取する。割球を使用した検査ではモザイクやバイオプシー後の胚発生への影響などが指摘されている。胚盤胞では栄養外胚葉を4~8細胞程度採取する。
複数の細胞を採取し検査することで検査精度の向上が期待でき、また胚盤胞まで発生した胚から細胞を採取することにより胚発生への影響も回避することができる。しかしながら10細胞以上を採取すると流産率が高くなるという報告もあり必要以上の細胞を採取しないよう注意が必要である。

透明帯の開口方法に関しては初期胚のバイプシーではレーザーや酸性タイロードを用いて開口するか機械的に
スリットを作成する。透明帯開口後は吸引法もしくは押出法により割球を採取する2)。胚盤胞では初期胚の時期に透明帯をレーザーで開口しておき、孵化してきた栄養外胚葉を採取するか、採取の直前に透明帯を開口する方法がある。それぞれの方法にメリット、デメリットがあり、各施設にあった方法を選択することが望ましいと考えられる。

当院では初期胚のバイオプシーではレーザーを用いて透明帯を開口し割球を吸引する方法を採用している。胚盤胞のバイオプシーでは胚へのダメージを考慮し、胚盤胞へ成長してから透明帯を開口するのではなく、初期胚の時点で開口しておき一部孵化してきた栄養外胚葉をレーザーを用いて採取している。

 

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