英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第22回 日本IVF学会学術集会

  • 40歳以上患者におけるPiezo-ICSIの有用性について
  • 2019年10月5日(土)~6日(日)JR九州ホール及び会議室
  • 第22回 日本IVF学会学術集会
  • 岸加奈子、古橋孝祐、片田雄也、角本知世、角知英、岩﨑利郎、松本由紀子、苔口昭次、

    塩谷雅英

【目的】

生殖補助医療において、卵細胞質内精子注入法(intracytoplasmic sperm injection;ICSI)は必須の技術である。ICSIの際には精子を卵細胞質内へ注入する為に、インジェクションニードルで透明帯を押し破った上で、卵細胞質膜の破膜が必須である。この卵細胞質膜を破膜するためには、ニードル内へ卵細胞質を吸引して破膜する方法(conventional-ICSI:以下c-ICSI)、又はPiezoパルスを使用して破膜する方法(Piezo-ICSI)がある。近年ヒト卵子においてPiezo-ICSIの有用性が報告され、我々も過去に高齢患者におけるPiezo-ICSIの有用性について報告した(2015年日本卵子学会、2018年日本IVF学会)。今回、2019年1月より40歳以上患者においてPiezo-ICSIを実施するよう治療方針を変更した結果、培養成績の向上に寄与したかどうか前年と比較したのでここに報告する。

【方法】

2018年1月~3月にc-ICSIを実施した218周期(528個)をc-ICSI群とし、2019年1月~3月にPiezo-ICSIを実施した288周期(773個)をPiezo群とし、後方視的に検討を行った。また、本検討にはEppendorf社製のPiezoドライブ(PiezoXpert)を用いた。検討項目は受精率、2PN率、変性率、良好分割率(4cellG2以上)、D5胚盤胞発生率、D5良好胚盤胞率(G3BB以上)、D5・D6胚盤胞発生率とし、それぞれ比較検討を行った。

【結果】

c-ICSI群の平均年齢は42.7±2.1歳、Piezo群 の平均年齢は42.9±2.1歳であり、両群において患者背景に有意差は認められなかった。培養成績は順に受精率(82.0% vs 85.1% p=0.134)、2PN率(72.0% vs 77.6% p=0.020)、変性率(5.3% vs 6.1% p=0.56)、良好分割率(54.4% vs 53.2% p=0.72)、D5胚盤胞発生率(25.2% vs 36.6 p=0.0011)、D5良好胚盤胞率(33.8% vs 32.3% p=0.82)、D5・D6胚盤胞発生率(39.2% vs 45.8% p=0.078)であり、2PN率、D5胚盤胞発生率においてPiezo群が有意に高い値となった。

【考察】

本検討結果より、40歳以上患者におけるPiezo-ICSIの有用性が確認出来たことから、Piezo-ICSIは加齢に伴う脆弱な卵子において、より少ないダメージでICSIが可能となり培養成績の向上に寄与出来ることが示唆された。今後はPiezo-ICSIが妊娠率の向上に寄与出来ているかどうかの検討も行っていきたい。

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