英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

研究開発・学会発表

診療・治療

第24回日本IVF学会学術集会

  • 雌雄両方のゲノムを含む1PN形成は自然妊娠でもc-IVFと同率に起こる
  • 2021年10月2日・3日 琵琶湖ホテル
  • 第24回日本IVF学会学術集会
  • 魏 興強1),2)、江夏徳寿1)、古橋孝祐1)、岩﨑利郎1)、苔口昭次1)、塩谷雅英1)、大月純子1),2),3)



    1)英ウィメンズクリニック

    2)岡山大学大学院 環境生命科学研究科 生殖補助医療学研究室

    3)岡山大学生殖補助医療技術教育研究センター

【背景】

c-IVF後、通常は雌雄の2前核(2PN)を形成するが、1前核(1PN)形成が起こることもある。1PNとなる原因には単為発生、雄性前核形成不全、雌性前核形成不全に起因し1倍体の1PNとなる場合、雌性前核と雄性前核が形成する際或は形成された後に融合する2倍体の1PNがあり、後者の場合は児が生まれることがある。c-IVFの場合、第二極体放出後、精子の膜融合部位に受精丘が形成され、続いて細胞内にCytoplasmic Wave(CW)が起こる。第二極体は雌性前核形成のサインであり、受精丘/CWは雄性前核形成のサインであることから、本研究では両サインを有する1PNの動態解析を行い有益な結果を得たので報告する。

 

【方法】

2020年1月~7月の期間にiBIS(アステック社)を用いたタイムラプス観察を行った3,337個のIVF受精卵のうち、第二極体放出の位置、受精丘もしくはCWの起点が確認できた477個(1PN:24、2PN: 453)の後方視的解析を、英ウィメンズクリニックおよび岡山大学のIRB承認を得て行った。受精丘が見られた場合は受精丘の起点と第二極体中央までの距離を測定し、受精丘が見られずともCWの起点が確認できた場合はその起点と第二極体中央までの距離を測定し、1PNとなる場合の距離のカットオフ値をROC曲線解析により求め、その数値をもとに、c-IVFにて雌雄ゲノム含有1PN形成となる確率を算出した。

 

【結果】

c-IVF受精卵の1PN, 2PN率はそれぞれ4.3%(145/3337), 81.3%(2714/3337)であり、そのうち受精丘/CWはそれぞれ1PN: 16.6%(24/145), 2PN:16.7%(453/2714)に確認可能であった。受精丘出現から後退までの平均時間は、100(±37)分であり、受精丘後退後15~30分以内にすべてが後退地点よりCWを開始した。1PNとなる場合の第二極体と受精丘/CW起点の距離のカットオフ値は18μmであり、AUCは0.972 (95%CI:0.955-0.988)と非常に高い判別能を示した。よって、雌雄ゲノム含有1PNは計算上(半径18μm地点の表面積/全体の表面積)2.7%の確率で起こることが判明した。

 

【考察】

c-IVF後の2.7-5.6%に1PN形成のうち、diploid 1PN率は62% (Sultan et al., 1995)および87%(Heijden et al. 2009)と報告されていることから、本研究の検討期間のdiploid 1PN率は2.7―3.7%であると考えられ、計算上の理論値である2.7%と一致した。ヒトMII期卵母細胞では、微絨毛と表層顆粒の分布が均一であることが報告されており、雌雄ゲノム含有1PN形成は自然妊娠においても同程度の確率で起こっていると推測される。

 

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