不妊治療の知識

10月のおはな

胚培養スタッフより

胚培養スタッフより

当院胚培養スタッフからお届けするコラムです。一般の治療ではなかなか見えにくい部分をお届けしています。

精子運動解析装置SMAS(Sperm Motility Analysis System)について(2017年8月)

精子運動解析装置SMASについてご存知でしょうか。
Sperm Motility Analysis System(略して“SMAS”と言います)は、総量・運動精子・不動精子を判別し、精子濃度・運動率を短時間で正確に計測することができる精子運動解析システムです。
精子の運動性が、不妊症の重要な原因であることが最近明らかになってきましたが、精子の運動性や運動の質は人の目によって判断することは難しく、詳細について調べられていませんでした。
以前は当院の精液検査においても、胚培養士が目視法により精子数をカウントし精子濃度、精子運動率等を算出してきました。目視法は簡便で精子以外の夾雑物を判定できますが、主観的な検査になるため検査者間で差が出ることがあり、詳細な運動解析は不可能であるという問題点がありました。数千万という数の動いている精子を数えるには検査者の熟練度や時間を必要とし、検査者の主観、個人差や経験によって検査結果がばらついてしまうという課題がありました。
WHOマニュアルや日本のガイドラインではヒトの目視による方法が推奨されていますが、上記の問題を改善するためには、精密機器を用いて精液検査を行うことが望ましいと考えられます。その例として、Computer-aided sperm analysis(略して“CASA”と言います)と呼ばれる、精子数や運動率や速度などの運動性の詳細をコンピューターで自動解析する検査があります。CASAは精密機器により画像を解析して精液検査を行うため、客観性、効率性、正確性に加えて、詳細な運動解析が施行可能である面から、最近では多くの病院やクリニックで採用されています。
当院では、2016年3月からSMASを導入し精液検査を行っています。
SMASは国産唯一のCASAシステムで、不妊症の大きなファクターである精子の数と運動量を、高精細カメラと最新鋭のソフトウェアアルゴリズムで自動解析できます。
SMASを導入することにより、従来の検査内容だけでなく精子の運動性・運動の質について正確に計測でき、短時間で結果を出せるようになったため、患者様により正確で詳細な検査結果を早急にお伝えできるようになりました。
今後も一人でも多くの患者様のお力になれますように精進して参ります。
培養部門 横田梨恵
培養士コラム2017.8