不妊治療の知識

12月のおはな

胚培養スタッフより

胚培養スタッフより

当院胚培養スタッフからお届けするコラムです。一般の治療ではなかなか見えにくい部分をお届けしています。

MESAについて(2019年7月)

射出精液中に精子が存在しない場合には無精子症と診断され、閉塞性無精子症と非閉塞性無精子症に分けられます。
通常、精巣で作られた精子は、精巣上体、精管を通り精液として射出されます。このうち、精管・精巣上体管・射精管・精巣輸出管などの精路通過障害がある場合、閉塞性無精子症と判断されます。染色体異常、遺伝子異常などの先天性、あるいはガン剤治療、放射線治療などの後天性の原因により、精巣で精子を作る能力が低下してしまった場合、非閉塞性無精子と判断されます。
精巣内の精子を回収する方法として、多くのART施設で行われているのは、精子内精子抽出方法(testicular sperm extraction:TESE)があります。主として顕微授精(ICSI)に用いるために、精巣から精子を回収することを目指しています。詳しくは過去の記事、TESEについてをご参照ください。
これに加え当院では、閉塞生無精子症患者で、顕微鏡下で精巣上体管をガラスピペットで穿刺して、精巣上体精子を回収する精巣上体精子吸引法(microsurgical epididymal sperm aspiration:MESA)を行なっています。
精子は精巣内では5%程度しか運動していませんが、精巣上体で運動性を獲得するため、精巣から回収した精子より精子の質が良いと考えられます。そのため、ICSIに用いる精子の判別がTESEに比べ容易になります。しかし、MESAはTESEよりも手技が煩雑であり、時間がかかるというデメリットがあります。また、TESEの方が組織が多く取れるため、回収できる精子の量はTESEの方が多くなります。
当院ではTESE・MESA共に年間多くのオペを行っています。2018年度はTESE41件を行い、そのうち 8件はMESAを併用しています。MESAでの精子の回収率は約70%程度です。
どちらの方法もメリット・デメリットがあり、どちらが良いかは患者様それぞれ異なってきます。非常に大事な手術なので検討される場合は一度医師と相談していただくことをお勧め致します。
実際にMESAで得られた精子の様子です。
培養部門 塚本樹里