不妊治療の知識

9月のおはな

胚培養スタッフより

胚培養スタッフより

当院胚培養スタッフからお届けするコラムです。一般の治療ではなかなか見えにくい部分をお届けしています。

当院培養室のクオリティーコントロール(2022年4月)

皆様の大切な受精卵をお預かりする培養室は、培養に適切な環境を整えられていることがとても重要です。当院の培養室は受精卵の培養に最適な状態を保つため、培養機器や培養液を厳しく管理しています。
今回は、その管理方法についてご紹介いたします。

【培養室の環境】
培養室は手術室と同等のクリーンルームであることが望ましいとされ、スタッフは手洗い、UV殺菌を行い、エアーシャワー通過後に入室します。UVは受精卵にダメージを与える可能性があるため、室内は太陽光が直接入らないよう窓は無く、照明には蛍光灯ではなくUVを放出しないLEDライトを使用しています。

2022.4①

 

【培養機器】
お預かりした卵子・受精卵は体内に近い環境で過ごせるように、インキュベーターと呼ばれる保温器で培養しています。インキュベーター内は酸素濃度、二酸化炭素濃度、温度が一定に保たれており、表示値と実際の値がずれていないか定期的に点検を行っています。
また、24時間体制の監視システムを用いているため、ガスの供給や温度に異常があればスタッフにアラームが届き、すぐに対応できるようになっています。

【培養液の分注】
体外に取り出した卵子や受精卵はディッシュ(培養皿)内の培養液に入っています。ディッシュを作製する時はコンタミネーション(異物混入や汚染)が起こらないように、消毒したクリーンベンチ内で作業し、ディッシュの蓋はできるだけ開けないように気を付けます。また、培養液は大気下と比べて二酸化炭素の割合が高いインキュベーター内で、安定したpHを維持するよう設定されています。大気下に置かれた培養液のpHは急激に上昇するため、インキュベーター外での操作は最小限にする必要があります。二人一組で培養液の分注を行うことで、培養液が大気中にさらされる時間を短縮しています。

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【培養成績の管理】
このように我々培養士は、培養液や培養機器の管理を厳しく行い、受精卵を日々観察することで問題なく培養が行われているか気を配っています。それに加え、客観的に培養状況を知るために、日ごと、週ごと、月ごとの培養成績と各月の妊娠成績を数値化しています。これらの成績を比較することで全体の傾向が一目でわかり、どのような変化にも素早く対応できるよう備えています。

2022.4③
皆様が安心して受精卵を預けられるよう、日々管理に努めてまいります。
最後までお付き合いくださりありがとうございました。

 
培養部門 阿部礼奈