不妊治療の知識

1月のおはな

理事長コラム

理事長コラム

当院理事長 塩谷雅英が毎日の診療の中、見えてきたこと、皆様に是非お伝えしたいことなどをつづったコラムです。

第82回 抗ミュラー管ホルモン(AMH)の役割について(2014年9月)

 AMHは卵巣内の未熟な卵胞から分泌されているホルモンであり、血液中のAMHを測定することで卵巣に残っている卵子の数を類推できます。今回は、体の中でのAMHの役割をご説明します。
 卵巣内には出生時に一生分の卵子が内蔵されており、これらの卵子は、排卵まで何年も冬眠状態で排卵の順番をひたすら待っています。そして排卵の順番を迎えた一部の卵子だけが、冬眠から目覚め排卵の準備を行います。実際に排卵にいたるのはこれらのうちの1個だけであり、他は消滅していきます。このように、卵巣の卵子は徐々に成長を開始し、徐々に減少していくのです。もし、卵巣に残っている全ての卵子が一斉に排卵にむけて活動を開始すれば、一度で全ての卵子が失われてしまう事になります。このようなことが起こらないよう、冬眠状態の卵子の活動をコントロールしているのがAMHです。
 不妊外来では、AMHが低い場合、卵巣に残っている卵子の数が少なくなっていると考え、早めに妊娠にいたる治療方法を検討します。

執筆:理事長 塩谷雅英