はなぶさ ブログ

2月のおはな

生殖補助医療によって誕生した子は男児が多い?女児が多い?

生殖補助医療によって産まれる子供の割合は年々増えていますが、もし生まれる子供の男児と女児の割合が違っていれば将来の人口比率にも影響を与えそうですよね。実際はどうなのでしょうか。


今回は、そのシンプルな疑問を調査したイギリスの研究をご紹介します。
Maalouf氏らが2014年にfertility and sterility に報告した論文です。
Effects of assisted reproductive technologies on human sex ratio at birth.(生殖補助医療が生誕児の男女比に与える影響)

 

この研究では2000年~2010年の間にイギリスにて生殖補助医療を用いて誕生した10万6066人の赤ちゃんを調査しています。この研究での生殖補助医療とは体外受精、顕微授精に加えて人工授精も含まれています。
結果を見てみますと、まず性別差の要因として母親の年齢や今までの治療回数、ホルモン補充の有無、今までの治療年数などを解析しています。様々な因子の中で、生殖補助医療の種類のみが性別に影響するという結果でした。

それでは、実際にどのように影響しているのでしょうか。結果は男児の占める割合で求められています(イギリスの一般男児率は0.513)。体外受精(IVF)では0.521、顕微授精(ICSI)では0.493であり、一般人口に比べて体外受精では有意に男児が生まれやすく、顕微授精では女児が生まれやすいという結果でした。人工授精では一般人口との差は認めなかったようです。

 

結果として補助生殖医療全体では、男児が生まれる割合が少なくなるとのことですが、リスク比0.9889ですから実際はほとんど差がなさそうです。
続いて、体外受精と顕微授精において移植した時期によって男女比を求めています。これによるとday4-7の後期胚(胚盤胞)移植とday1-3の初期胚移植で比べたところ後期胚では男児率が6%ほど高くなったとのことです。これは、男児胚の方がやや胚盤胞生育率が高いからではないかと推測されていますが確定的な事は分かっていません。
ということで、体外受精や胚盤胞移植では男児の生まれる割合が高かったというのが本論文の結論となります。とはいえ、全体での比較では有意差がついているものの(p=0.005)、リスク比0.9889、95%信頼区間0.9827-0.9952という事で、実際は1-2%程の差ですから基本的には生殖医療は性別にほとんど影響しないと考えて良いのではないでしょうか。

 

続報がありましたらまた報告したいと思います。

 

(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)

 

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