はなぶさ ブログ

4月のおはな

ロング法、ショート法、アンタゴニスト法。卵巣刺激方法で結果は違う?

体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)において、できれば一度の採卵で妊娠・出産できる卵子を採卵したい、というのは多くの皆さんの思いでしょう。

とはいえ、中には一度の採卵でほとんど卵子が採取できない方も残念ながらいらっしゃいます。

その様な方には次はどんな治療を選択するのか?

実際にはご本人の卵巣機能や薬剤への反応を見ながら相談していくわけですが、もしランダムに治療法を選んだらそれぞれの治療法で結果は違うのか?その疑問に答える臨床研究をご紹介します。
Long gonadotropin-releasing hormone agonist versus short agonist versus antagonist regimens in poor responders undergoing in vitro fertilization: a randomized controlled trial.
(ロング法vsショート法vsアンタゴニスト法。IVFにおける卵巣刺激低反応症例におけるランダム化試験)

(ランダム化試験とは研究対象となる人を無作為(ランダム)にいくつかの集団に分けて比較する研究方法で、信頼性が高い手法と言われています)

イギリスのSunkara氏らによる報告で、2014年のfertility and sterility誌に掲載されています。
本研究では、前周期でゴナドトロピン300単位/日以上使っていたにもかかわらず、採卵個数が3個以下、もしくは採卵自体をキャンセルした患者さんが対象となっています。一般に採卵個数がそれほど見込めない方や、41歳以上、片方卵巣摘除後の方は本検討には含まれていません。113人の対象者のうち実際に治療を行ったのは93人で、それぞれの群に振り分けられています。

結果を見ると、採卵個数はロング法で4.42個、ショート法で2.71個、アンタゴニスト法で3.30個と、ロング法が最も採卵個数が多いという結果でした。ただ統計学的解析ではロング法とショート法では有意差がありますが、ロング法とアンタゴニスト法では有意差がつくまでは差が無かったようです。受精率には差を認めていません。妊娠率はロング法8.1%、ショート法8.1%、アンタゴニスト法16.2%でしたが、症例数が少ないため有意な差とは言えませんでした。
結論として、調節卵巣刺激法にてロング法が採卵できる卵子が一番多くなった、ということです。卵子がとれる数としてはロング法やアンタゴニスト法に比べてショート法は効果が低いのではないかと述べられています。

本検討は、40歳以下に限定した検討であり、AMH値も測られていないということもあり、そのまま臨床に持ち込む事はできませんが、あくまで一つの参考として頂ければと思います。

 

過去の記事もご参照ください。

理想的な採卵個数はどれくらいか?

たくさん採卵できた時の個々の卵子の質は悪くなったりしない?

(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)

 

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