はなぶさ ブログ

12月のおはな

不妊治療でよく使われるレトロゾール(フェマーラ)のお話

今回は「レトロゾール」についてお話しします。


(写真は富士製薬工業ホームページより)
レトロゾールは一般名(有効成分の名前)で、フェマーラというのが先発品の商品名です。
不妊治療では前回お話したクロミッドと同様、排卵誘発剤として使用されます。

フェマーラ(以下レトロゾールといいます)という薬はもともと乳がんの治療薬として承認され使用されてきました。
現在でも国内では「閉経後乳癌」だけが保険診療上認められた効能効果となっています。

ではなぜ乳がんの治療薬が排卵誘発剤として使われるのでしょう。
この薬が排卵誘発剤として働く仕組みをご説明しましょう。

レトロゾールは薬効分類上、アロマターゼ阻害薬と呼ばれています。

エストロゲンという女性ホルモンは卵胞ホルモンと呼ばれるように、卵胞で作られるのですが、最終的にはアロマターゼという酵素によって変換されエストロゲンが作られます。
レトロゾールはこのアロマターゼの働きを阻害することによってエストロゲンが卵胞で作られるのを妨げるということになります。

エストロゲンは卵胞を発育させるFSHやLHの分泌を、そのフィードバック作用によってコントロールしているという話を前回のクロミッドの時にしましたが、それと同じで、エストロゲンの値が下がれば、脳は卵胞の発育が不十分だと感じて卵胞刺激ホルモンであるFSHを多く放出するという仕組みです。
また、レトロゾールは卵胞のFSHに対する感受性を高めるとも言われていて、そのこともより排卵誘発効果に寄与していると考えられています。

乳がんの細胞は、エストロゲンの感受性が高いため、エストロゲンの値が下がることによって乳がんの増殖を抑えることができ、治療薬として使用されています。
乳がんでの適応が「閉経後」となっているのは、卵巣の機能が活発な年代で使用すると卵巣が刺激に反応してしまい、十分にエストロゲン値を抑えられない可能性があるためです。

一般的な使い方は、月経開始3日目頃から1日1回1錠(2.5mg)を5日間程度服用します。

レトロゾールの特徴は、クロミッドと同様、排卵誘発作用がマイルドなこと、飲み薬のため投与が簡便なことなどが挙げられます。また、クロミッドでみられる子宮内膜が厚くなりにくいことがレトロゾールでは少ないという特徴があります。

副作用はあまり多くありませんが、特徴的なものとして疲労感やめまい、傾眠などがみられることがありますので、初めて飲む場合は自動車の運転などに注意が必要です。

もし服用されて何か気になる症状を感じたら処方医に相談されるとよいでしょう。

前回の記事もご参照ください。

不妊治療でよく使われるクロミッドのお話
(文責:[生殖医療薬剤部門] 山本 健児 [理事長] 塩谷 雅英)

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