はなぶさ ブログ

2月のおはな

新鮮精子と凍結精子では妊娠率が違う? その2

前回、「新鮮精子と凍結精子では妊娠率が違う? その1」では、下記の研究から高度乏精子症の方の射出精子をそのまま用いた新鮮精子群と、一旦凍結して用いた凍結精子群を比較した結果をご紹介しました。
Does cryopreservation of sperm affect fertilization in nonobstructive azoospermia or cryptozoospermia?

(閉塞性無精子症や高度乏精子症において精子凍結は妊娠に影響するか?)
本研究はイスラエルのShachter氏らが2017年のFertility and Sterility誌に発表した論文です。
精子のいた割合は新鮮精子の方が高く、受精率も新鮮精子の方が有意に高くなっていました。また同様に妊娠率、出産率も新鮮精子の方が高くなってしたが、対象の数が少ないため統計学的有意差は出ていないという結果でした。

本研究では無精子症患者において精巣内精子採取術(TESE)によって得られた精子についても検討しています。

上図をみると、運動精子のいた割合、受精率ともに新鮮精子群がわずかに高くなっていますが、全体の数が少ない為統計学的有意差はついていません。同様に、妊娠率、出産率についても差はないという結果でした。
結論として
・高度乏精子症において射出精子を用いる場合は凍結しない方が良い。
・無精子症の場合、TESE精子については凍結しても結果に差はでない。
という事でした。

非閉塞性無精子症におけるTESEに関しては精子が採取できない可能性も高いので、採卵日とTESEの日程をあわせてまで新鮮精子を用いるメリットは少ないだろうという見解です。
当院では採卵日とTESEの日程をあわせるフレッシュTESEにも常時対応しておりますが、

上記の様な理由から基本的には閉塞性無精子症など確実に精子回収できる場合以外は凍結して、精子が確保できてから奥様の採卵スケジュールを立てるという方法をお勧めしています。

テーマ「男性不妊」も合わせてご参照ください
(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)