クロミッド or レトロゾール その違いは? その2
前回、クロミッドとレトロゾールの違いをお話するために、女性の月経周期に関連する5つのホルモンについてご紹介しました。
今回はクロミッドとレトロゾールの作用の違い、についてもう少し詳しくお話させていただこうと思います。
クロミッド or レトロゾール その違いは? その1では、卵胞が発育してくると、エストロゲンが増えてネガディブフィードバック(抑制)がかかり、刺激ホルモンであるFSHが下がってくるということをお話ししました。
排卵誘発剤はこのネガティブフィードバック(抑制)がかからないようにしてFSHがしっかり出るように働くのです。
クロミッドとレトロゾールではその方法が異なります。
上の図にありますようにクロミッドは視床下部や下垂体がエストロゲンの信号を受け取ることを邪魔することで抑制がかからないようにします。
レトロゾールは卵胞でエストロゲンが作られるのを邪魔することで抑制がかからないようにしています。
また、クロミッドとレトロゾールの違いで重要なことのひとつは、その作用時間の長さにあります。クロミッドの半減期(服用後体内の薬の量が半分になるまでの時間)は5日~7日間と長めなのに対し、レトロゾールの半減期は2~3日で少し短めです。
さて、これらのような違いを実際の治療ではどのように活用しているのでしょうか。
実はこのような作用の仕方の違いが、治療上はいろいろな特徴となって使い分けが行われます。
次回はそのようなお話をさせていただきますね。
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(文責:[生殖医療薬剤部門] 山本 健児 [理事長] 塩谷 雅英)