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2月のおはな

精子のDNA損傷が高度な方にはTESEが有効な場合がある その3

今回は、精子のDNA損傷が高度な方におけるTESE(精巣内精子採取術)の有効性について検証した研究をご紹介しています。
精子のDNA損傷が高度な方にはTESEが有効な場合がある その2では全ての報告においてTESE精子の方が射出精子に比べてDNA損傷の割合が少なくなっているという結果を紹介しました。

さらに実際に顕微授精を行った場合の結果を見てみましょう。

受精率においては射出精子とTESE精子で差がないという結果でした。

一方で妊娠率に関してはTESE精子を用いた顕微授精の方が有利であることがうかがえます。

オッズ比でみると2.42倍妊娠率が高くなっています。

95%信頼区間は1をまたがなかったら有意と考えられますが、これも1.57-3.73であり統計学的に有意な差であることが分かります。

続いて流産率を比較すると、TESE精子を用いた方が流産率が低い事が分かります。

オッズ比でみるとTESE精子を用いた群で流産率を0.28倍に抑えられていると考えられました。

95%信頼区間も0.11-0.68であり有意な差と言えます。結果として、当然ながら出産率もTESE精子を用いた方が2.58倍高いという結果になっています。
結論としては
・精子のDNA損傷を認める症例においてはTESE精子を用いた方が良い成果を得られる。

という事でした。
ちなみに射出精子のいる症例では、TESEでほぼ確実に精子を回収できますから凍結によるダメージを避けるため、奥様の採卵と同時にご主人も精子採取を行うフレッシュTESEの方が良いと考えられます。
精子の状態が悪く顕微授精でもなかなか結果が出ない方には、選択肢として考える価値があるでしょう。

 

以前の記事もご参照ください。

精子のDNA損傷が高度な方にはTESEが有効な場合がある その1

精子のDNA損傷が高度な方にはTESEが有効な場合がある その2

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以前ににご紹介した男性不妊関するテーマの記事もご参照ください。

(文責:医師部門 江夏徳寿、理事長 塩谷雅英)