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5月のおはな

不妊治療でよく使われるピルのお話 その3

今回は「ピル」の避妊以外の使い方や副作用についてお話しします。

実際にはピルは避妊以外にもさまざまな場面で使用されます。
保険の適応になる使い方としては、月経困難症があります。

月経困難症とは、生理の際に生じる症状(特に痛み)が強く、治療が必要なるようなものをいいます。

原因によってはピルを使用しない場合もありますが、月経困難症に対するピルの効果や仕組みも、実は前回書いた避妊の仕組みと同じで、子宮内膜が厚くならず、排卵しないことによって黄体ホルモンも分泌されず、プロスタグランジンという子宮を収縮させる物質の分泌も少なくなり、生理痛を軽くできるのです。
飲み方も避妊の場合と全く同じです。

不妊治療での使われ方としては、タイミングや人工授精のあと、主に黄体期(高温期)に服用して黄体補充を行ったり、

体外受精の排卵誘発の前周期に遺残卵胞の解消や卵巣を休める目的で使用されることがあります。
また、月経不順や自然に生理が来ない状態のときに月経周期を調整したりリセットするために使用することもあります。
この場合の飲み方は、月経周期の後半(排卵の数日後)から飲み始めて、10日から2週間程度服用します。

さて、気になる副作用ですが、
一般的に見られる副作用としては、不正出血や吐き気ですが、これらは服用を続けているうちに収まることが多いです。

また、ピルの種類を変えることで解消することもあります。
それから、女性ホルモン剤の副作用として注意が必要なのは、血栓が起こる可能性があることです。

頻度的にはごくまれな副作用ですが、「手足のまひやしびれ」、「胸の痛み」、「呼吸困難」、「片方の足の急激な痛みや腫れ」などの特徴的な自覚症状があります。

このような症状を感じたらすぐに服用をやめて処方医に相談又は受診するようにしましょう。
新しい世代のピルには血栓のリスクが高いものがあると言われた時期もありましたが、現在では世代の新旧による血栓リスクは変わらないと考えられています。

ピルに関する疑問として、
ピルを服用すると妊娠しにくくなるとか、AMHが下がるのではとの心配をお聞きすることもあります。
ここまでご紹介したようにピルには卵巣を休める働きがあるので、AMHの値はピルの服用中はやや低下することもありますが、それは一過性のもので、服用をやめれば元に戻りますのでご心配はいらないでしょう。

もちろん服用をやめたあとに妊娠しにくくなってしまっているということもありません。

お薬のことを少しでも知って使っていただき、治療に対する理解の一助になりますと幸いです。

 

以前の記事はこちらからお読みいただけます。

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(文責:[生殖医療薬剤部門] 山本 健児 [理事長] 塩谷 雅英)