はなぶさ ブログ

6月のおはな

知ってなるほどホルモンと月経のお話 エストロゲンという名称の由来は?

今回はその3: エストロゲンという名称の由来は?というお話をしましょう。

エストロゲンは英語ではestrogenと綴ります。これはラテン語のestrus(発情)+gen(生む)からできている言葉です。

つまりエストロゲンとは、発情を引き起こす物質を意味しているのです。

ですから、動物の分野ではエストロゲンのことを発情ホルモンと呼ぶこともあります。
発情。日常ではあまり使わないことばですよね。辞書には「動物が交尾可能な生理的状態」と載っています。

写真やテレビで見るサルやチンパンジーのお尻が赤く腫れているのも、春の宵ネコが「うおお〜ん」と唸り声をあげて騒ぐのも、そのメス動物が発情の状態にあることを示しています。

これは、その動物が「今だったらあなたを受け入れることができますよ。そして妊娠してあなたの子供を生むことができます。」

といってオスを誘っていることを意味しています。

発情の時期には、その動物の卵巣で卵胞が十分に発育・成熟して排卵直前の状態にあり、大量のエストロゲンを分泌しているのです。

そしてこの時期交尾をすればたいていの動物が妊娠します。

事実、実験的に発情期でないメス動物や、卵巣を摘出してエストロゲンがほとんど分泌されないメス動物にエストロゲンを投与すると発情の状態が再現できます。

また、精巣を摘出したオスの動物にエストロゲンを投与しても同じ現象の起こることが知られています。

確かに、エストロゲンは動物にとっては発情を引き起こすホルモン、いわば惚れ薬(媚薬)なのです。

ほとんどの動物は発情の時期以外にはオスを受け入れません。

ヒト(人間)ではどうでしょうか。ありがたいことに、ヒトではエストロゲンの血中濃度が高くても、

少なくともお尻が赤く腫れることもありませんし、男性を受け入れたいという強い衝動も起きません。

逆に男性をうけ入れたい場合には、エストロゲンの血中濃度が低かろうと高かろうと

月経周期のどの時期であってもその女性の意思で彼を受け入れることができます。

つまり、ヒトの性行動は、ホルモンによって支配されているというよりも、大脳の力、すなわち理性によって制御されているということができます。

 

それだけヒトは動物の中でも特別な存在だということでしょうね。

 

以前の記事もご参照ください。

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その1 女性ホルモンとは

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その2 エストロゲンは男性ホルモンからできるって本当?

テーマ お薬の話

 

(文責:[医師部門] 片山 和明 [理事長] 塩谷 雅英)