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9月のおはな

AMHの値でわかること。着床前診断による正常胚の数を予測する

AMH(抗ミュラー管ホルモン)が卵巣予備能を予測する指標として有用ですが、実際に臨床の現場でどのように活用していくか。

この様なテーマに沿った下記の研究をご紹介しています。

今回はその3回目です。
Female age, serum antimullerian hormone level, and number of oocytes affect the rate and number of euploid blastocysts in in vitro fertilization/intracytoplasmic sperm injection cycles

(女性の年齢、血清AMH、採卵個数は体外受精、顕微授精における染色体正常胚の割合と個数に影響する。)
この研究では体外受精、顕微授精を行い、着床前診断を行った578組の夫婦を対象として調査しています。

前回は、年齢、AMHの値、成熟卵の個数という各因子と染色体正常胚の割合との関係を見てみました。

最後に染色体正常胚の割合と個数をエンドポイントとした単変量解析と多変量解析を行った結果をご紹介しましょう。

ちょっとむつかしい用語になってしまいますが、簡単にご説明します。

これを見ると、単変量解析では年齢、AMH、採卵数、成熟卵子数の全てで有意差が付いていますが、多変量解析になると年齢、AMHだけになっています。

これは、採卵数、成熟卵子数が年齢やAMHと相関するため単変量解析では有意なファクターと考えられたものの、採卵個数単独では染色体正常胚の割合と相関しない事を示します。
逆に言うと、AMHは年齢と同様に染色体正常胚の割合を予測する独立した因子と考えられるという事を示します。
ということで、結論としては
・AMHの値は、それ単体で染色体正常胚の個数を予測できるファクターである

という事でした。このことで何が言えるのかというと、年齢が若くてもAMHが低い方は早めに体外受精や顕微授精にステップアップした方が良い(時間がたって更にAMHが下がると良好胚が得られなくなる可能性がある)。

という事と、年齢が高くてもAMHが保たれていれば良好胚が得られる可能性は比較的高い。

という事が言えるかと思います。
このようにAMHの値は臨床上非常に有用な指標になります。

ご自身の年齢だけでなくAMHの値も見ながら治療方針を相談されると良いかと思います。

 

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(文責:[医師部門] 江夏 徳寿 [理事長] 塩谷 雅英)