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5月のおはな

夢の薬か亡国の薬剤か!? オプジーボが国を亡ぼす?

これまで、オプジーボってどんな薬か、今までの抗がん剤に比べてどれくらい効果があるのかご紹介してきました。
このように夢の薬とも言われるオプジーボは、良い薬である事は間違いないのですが、

続いては「病気を治して国を亡ぼす薬」とも言われる原因である薬剤費について考えてみたいと思います。
オプジーボが承認された2014年には薬価は100ミリグラムあたり73万円でした。

これは体重65kgの方が2週間に1回投与した場合、1年間で3500万円かかる計算になります。

先述したように、オプジーボは癌を根治する薬ではないため、延命のために年間3500万円かけても良いのかという議論が起こりました。

また、当初皮膚がんの一種である悪性黒色腫だけに保険適応されていたものが、肺がん、腎がん、胃がん、リンパ腫と次々に適応が拡大されたため、対象患者数が急増し、国民健康保険の破たんが現実味を帯びてきたため緊急で薬価改定が行われ、薬価がどんどん引き下げられていきました。

2年間に2回の薬価改定を経て、さらに2018年11月の改定では17万3768円まで値下げされています。

これは保険収載時と比べると実に76.2%の大幅値引きになります。

製薬業界からは大反発の声が出ているようですが、実はイギリスでは2016年の時点ですでに14万円程であったようで、日本の製薬会社の薬剤がなぜ外国よりも高く売られていたのかという疑問もあります。

ところでオプジーボで注目された新薬の薬価ですが、大幅な値引きの効果もあり、現在では突出して高い薬剤ではなくなりました。

というのも、最近の新薬は軒並み高額であるため、ちょっと相場観がマヒしているという面もあります。

前回の話の中でオプジーボと比較検討されていたアフィニトールも年間約700万円ほどかかる薬剤になりますが、特に癌の領域では毎年の様に高額な薬剤が発売されています。

薬価ってどうやって決まるのかについてはいずれまたお話しできればと思います。

上の表に泌尿器科領域でこの10年の間に認可された薬剤の一部とその薬価を示しています。

(概算ですのでケースによっては大きく変わることもあります)

私が泌尿器科医として働きだした頃にはゾラデックス、リュープリンといった前立腺癌の薬剤が高価な薬の代表格でしたが、これらの薬は年間40万円ほどですから、最近の薬がいかに高額であるかが分かるかと思います。

これらの薬の出現によって確かに癌治療の現場は大きく変わり、多くの患者さんが新薬の恩恵を受けたのを実感してきました。

一方で、いずれの薬も癌を根治する事はできないため、あくまで延命のための薬であるという限界も目の当たりにしてきました。

上記の薬はあくまで私が知っている泌尿器科領域の薬だけをあげていますが、このような高額な新薬は現在多くの癌に存在しています。
いまや日本人の3人に1人が癌でなくなる時代です。

団塊の世代が高齢化を迎え、癌患者もますます増えると予想されます。

持続可能な社会保障のために、医療政策も大きな転換期を迎えていると思います。

 

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(文責:[医師部門] 江夏 徳寿 [理事長] 塩谷 雅英)