はなぶさ ブログ

5月のおはな

不妊治療でよく使われる膣坐薬のお話 実際の使い方は

今回は生殖補助医療で使われる黄体ホルモン(プロゲステロン)の膣坐剤のお話をしています。

1回目の前回は天然型の黄体ホルモンの薬がなぜ膣内投与になっているのかお話ししました。

2回目はプロゲステロン膣座薬の歴史や各社製剤の特徴などを紹介しました。

3回目の今回は膣座薬の実際の使い方についてお話しします。

黄体ホルモンの膣坐剤の使い方ですが、凍結融解胚移植を行う際の黄体ホルモンの補充に使用されることが多いと思います。

その場合、ホルモン補充周期というホルモン剤を使用した周期と自然の排卵を利用した周期とがあります。

月経周期と女性ホルモンのはたらきについては過去の記事もご参照ください)

自然排卵周期では排卵した後に使用を始めますが、ホルモン補充周期では、卵巣からの黄体ホルモンの分泌はありませんので膣坐剤を使用することで排卵後の状態が開始されます。

通常はこの黄体補充が始まった時点から計算して移植のスケジュールを決めることになります。

たとえば胚盤胞の融解胚移植は黄体補充をスタートして5日後に行うといった感じです。(胚のグレードやERAテストの結果によって変わることもあります)

膣への挿入はアプリケーターが付属するものはそれを使用します。

付属しない製剤は指を使って挿入します。その場合はできるだけ奥まで入れるようにしましょう。

目安としては指の第2関節くらいまで奥の方が戻ってきたりしにくいでしょう。

薬物動態(薬を投与してから体の中でどのように吸収され、分解され排泄されていくかを調べたもの)のデータを見てみると、プロゲステロンの膣剤は吸収に個人差がみられることもあるようですので、より安定した効果を期待するために、飲み薬(デュファストンなど)を併用することもあります。

また、製剤によって若干の違いはありますが、投与開始後はプロゲステロンの膣剤はおおむね血中濃度が安定して長く続きますので、投与間隔はあまりシビアに考えなくても問題ないと考えられます。

開始のタイミングはしっかりと守っていただきたいですが、

日中など膣剤を使用できるタイミングが難しいこともあるかと思いますので、スタート後は厳密に投与時間を守らないといけないと無理をされたり、心配されたりしなくても大丈夫でしょう。
通常は妊娠後も継続し、最長で妊娠12週まで使用することが承認されていますが、妊娠成立後はしだいに胎盤からプロゲステロンがたくさん出てくるようになりますので、状況を確認しながら終了していきます。

気になる副作用ですが、これらの製剤の成分は天然型のプロゲステロンで、もともと体の中で作られるホルモンと同じものですので副作用はそれほど多くありません。

局所の掻痒感、頭痛、腹痛、悪心・嘔吐などが時々現れることがあります。

稀ですがその他の副作用が出ることもありますので気になる症状があればご相談ください。

お薬のことを少しでもよく知って使っていただき、治療に対する理解の一助になりますと幸いです。

 

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テーマ「お薬の話」

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(文責:[生殖医療薬剤部門] 山本 健児 [理事長] 塩谷 雅英)