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6月のおはな

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その5 エストロゲンとプロゲステロンは子宮の入口でも働いてる

「知ってなるほどホルモンと月経のお話」5回目にの今回は、エストロゲンやプロゲステロンは子宮の入り口付近、すなわち子宮頚部に対しても働いているというお話をします。

(以前の記事は下方のリンクよりお読みいただけます)
エストロゲンは頚部にある頚管腺に働き、頚管粘液の分泌を促します。

排卵前の女性がサラサラとした多量の水様性帯下(おりもの)を自覚するのはそのためです。

この時期性行為があれば、腟の中に放出された精子はこの粘液の中を泳いで容易に子宮の中へ、さらには卵管の中へと進入していくことができるのです(図1)。

干上がった川ではアユもサケも上流へと登ってはいけませんが、十分な水があると泳いで登って行けるのと同じ理屈です。
女性ではエストロゲンの血中濃度が高くても発情という現象は起こりませんが、個人差はあるもののこのように水様性の帯下を自覚することで大体の排卵の時期、すなわち妊娠しやすい時期を知ることができるのです。
排卵の直前の時期に診察し、子宮の入り口(外子宮口)をみると図2左のように大量の透明な粘液がみられます。

ここに注射器を当てて吸引すると0.3〜0.5mlほどの粘液を採取することができます。

この粘液をそのまま引き伸ばすとこの時期の粘液は10cmにまで糸状に伸ばすことができます。

また、この粘液をスライドグラスの上に置き自然に乾燥させるときれいなシダ状の結晶がみられます。

これは食塩の結晶といわれています。

現在のように腟の中にエコーの器具を入れて至近距離から卵巣の状態がつぶさに観察できるようになったのは30年ほど前からです。

それまでわれわれ産婦人科医は、診察の際この頚管粘液の量と性状で排卵の時期を判断していたのです。
一方、プロゲステロンは子宮頚管腺に対しては、エストロゲンとは全く反対の働きをします。

プロゲステロンは頚管腺に働き、頚管粘液の分泌を止めてしまうのです(図2右)。


排卵後水様性の帯下がピタリと止まってしますのはそのためです。

この状態では精子が子宮内へと泳いで進入することができませんし、また卵管内に放出された卵も死にますので、排卵後3日も経つと性行為があっても妊娠が不可能となるのです。
以上が子宮に対するエストロゲンとプロゲステロンの働きですが、このように、このふたつのホルモンは、ある時には協力して働き、ある時には全く反対の働きをするという非常におもしろい性質があります。

前者をエストロゲンとプロゲステロンの協力作用、後者を拮抗作用と呼んでいます。

以前の記事もご参照ください。

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その1 女性ホルモンとは

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その2 エストロゲンは男性ホルモンからできるって本当?

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その3 エストロゲンという名称の由来は?

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その4 エストロゲンとプロゲステロンは子宮にどのように働く

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(文責:[医師部門] 片山 和明 [理事長] 塩谷 雅英)