ホルモン補充周期か、自然周期か。妊娠率に差はあるのでしょうか?
前回、凍結融解胚移植では自然排卵周期かホルモン補充周期かの選択肢が存在するというお話をしました。
そこで気になるのが妊娠率には差があるのでしょうか?ということかと思いますので、
その様な疑問に答える研究を紹介いたします。
Impact of method of endometrial preparation for frozen blastocyst transfer on pregnancy outcome: a retrospective cohort study
(凍結融解胚移植の方法が妊娠率に与える影響:後ろ向きコホート研究)
この論文はアメリカのGupta氏らが今年9月にFertility and Sterility誌に発表した研究です。
この研究では対象を2群に分けてA群はホルモン補充周期として月経開始しばらくしてからホルモン補充を行って、胚移植の5日前からプロゲステロン製剤を使用しています。
一方B群は自然排卵周期として、排卵前にホルモンと超音波検査を定期的に行い排卵を確認し移植の時期を決定しています。
2群間の患者背景を比較してみると、採卵時年齢、移植時年齢ともに差は無いようです。
BMIはホルモン補充周期の方が高めです。
また、移植個数を比べるとホルモン補充周期の方が2個移植している割合が高いようです。
続いて結果を見てみましょう。
これを見ると、妊娠率66%vs62%、出産率46%vs45%と両群間で差がありません。
同様に、流産率、死産率、子宮外妊娠率などすべての項目において両群間に差は無いようです。
では、年齢による差はどうでしょうか。
次回はその結果をご紹介したいと思います。
以前の記事もご参照ください
ホルモン補充周期か、自然周期か。凍結融解胚移植における選択について
(文責:医師部門 江夏 徳寿、理事長 塩谷 雅英)