体外受精/顕微授精で生まれた子供の学力テストの結果 自然妊娠児との差は!?
今回は、体外受精/顕微授精で生まれた子供の学力テストの成績を一般妊娠で生まれた子供と比較した下記の研究について紹介しています。
Cognitive development in children up to age 11 years born after ART—a longitudinal cohort study
(体外受精後に誕生した子供の11歳までの認知能力-縦断的コホート試験)
この論文はイギリスのBarbuscia氏らが2017年にHuman Reproduction誌に報告した研究です。
この研究では、最終的に15218名の子供を対象とした大規模な調査になっており、現在まで行われている調査の中で最大規模のデータとなります。
前回は、対象となった子供の背景の内訳を見てみました。
今回からは学力テストの成績の違いについて見ていきます。
上の図は子供の学力テストの結果を自然妊娠児と体外受精/顕微授精児で比較しています。
これを見ると、全てのポイントで体外受精/顕微授精によって生まれた子供の方が高いスコアをとっている事が分かります。
特に3歳と5歳の時の語彙力テストはその差が顕著です。
続いて、学力テストの結果の平均点を各ポイントで測定したグラフになります。
これを見ると、いずれの年齢においても体外受精/顕微授精によって生まれた子供の方が高い結果になっていますが、
その差は5歳がピークで徐々に減少し、11歳になると有意な差はないようです。
この結果には、体外受精/顕微授精か自然妊娠かという以外の背景が影響している可能性もありますので、次回はそれらの因子の影響を加味して結論のお話をしたいと思います。
以前の記事もご参照ください
(文責:医師部門 江夏 徳寿、理事長 塩谷 雅英)