はなぶさ ブログ

2月のおはな

採卵のための排卵誘発剤で刺激、妊娠に悪影響を与えないのか?③ 出産率に違いはあるか。

排卵誘発剤を使って、1回の採卵で多くの卵子を得られた方が良い受精卵に巡り合える可能性は高くなると考えられますが、

 

実際の妊娠率はどうなのでしょうか?

排卵刺激によって身体の負担が増えた分、着床しにくくなったりしないのでしょうか?

 

前回前々回と、そのような疑問に答える研究を紹介しています。

 

 

High FSH dosing is associated with reduced live birth rate in fresh but not subsequent frozen embryo transfers

(高用量のFSH製剤は新鮮胚移植において出産率を低下させたが、凍結胚移植には影響なかった。)

 
この研究では862名の女性を対象に935周期の新鮮胚移植と1274周期の凍結融解胚移植を使用したFSH製剤の量で3つの群に分けて調査しています。
今回は結果を見ていきましょう。

 

 

上のグラフは各群の出産率を新鮮胚移植と凍結融解胚移植で分けて比較したものです。

 

これを見ると凍結融解胚移植では各群の成績はそれ程変わらないのに対して新鮮胚移植では高刺激群の結果がかなり悪くなっているのが分かります。

とはいえ、前述の通り各群では年齢や回収卵の個数などの背景にかなりの偏りがあったため、これをそのまま鵜呑みにするわけにはいきません。

 

 

ということで、年齢、BMI、もともとの卵胞数、喫煙歴、採卵数、移植卵数などの因子を加えて多変量解析を行って補正を加えた成績を見てみます。

 

これを見ると、やはり刺激量が多いほど新鮮胚移植の成績は悪くなるものの、凍結融解胚移植では各群にほとんど差は無いことが分かります。

 

なお、新鮮胚移植での高刺激群での調整オッズ比は0.69(0.39-1.21)と統計学的有意差がついていませんが、新鮮胚移植と凍結融解胚移植の成績を比較して高刺激群だけ有意に成績が悪かったと述べられています(オッズ比 0.62; 0.41-0.93)。
ということで結論としては
・高刺激を行った場合、新鮮胚移植の成績が悪化する。
・凍結融解胚移植の場合は刺激量に影響を受けない。
ということでした。

 

理由としては、高刺激によるホルモン環境の変化が子宮内膜に影響を与えて着床しにくくなる環境となるためだろうと考察されています。

 

とはいえ、あくまで新鮮胚移植の場合のみですので、凍結してホルモン環境を整えてから移植してあげれば問題ない事も分かりましたのでご安心ください。
 

以前の記事もご参照ください

採卵のための排卵誘発剤で刺激、妊娠に悪影響を与えないのか?①

採卵のための排卵誘発剤で刺激、妊娠に悪影響を与えないのか?② 対象の背景について

たくさん採卵できた時の個々の卵子の質は悪くなったりしない?

ハナブロテーマ「排卵誘発・採卵」

 

(文責:医師部門 江夏 徳寿、理事長 塩谷 雅英)