はなぶさ ブログ

6月のおはな

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その8 妊娠するとどうして生理(月経)がなくなるの?

私は、ある看護学校の助産学科で30年以上、主に女性のホルモンについての授業をしています。

 

その時いつも学生に「妊娠するとなぜ月経がなくなるのか答えられるひと?」と質問をするのですが、ほとんど手は挙がりません。

皆さんはいかがでしょうか。

答えは今までお話してきたところにヒントが隠されています。

 

ただし、今までのお話では出てこなかったもうひとつのホルモンが重要な役割を担っているのです。

それはhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンです。
hCG?どこかで聞いたことのある名前ですよね。

そうです、妊娠判定のときに出てくる名前です。

このホルモンは妊娠すると胎盤の組織の一部である絨毛で作られて分泌されます。

妊娠していないひとでは全く検出されず、妊娠することにより初めて血中や尿中にでてくるのです。

ですから、血中や尿中でこのホルモンが検出されれば妊娠していると診断することができるのです。
hCGはFSH、LHに次ぐ第3のゴナドトロピンともいえるホルモンです。

その役割は、排卵後に卵巣にできた黄体を刺激し、妊娠黄体へと変えその寿命を延長させるとともに、その機能、すなわちエストロゲンやプロゲステロンの産生と分泌を促すことです。

つまり、作用の一部に違いはあるものの、ゴナドトロピンという名が示すようにhCGはLHとほぼ同じ作用を持っているのです。
妊娠しない場合、黄体の寿命はほぼ2週間で、その寿命が尽きるとエストロゲンとプロゲステロンの産生は急激に減少し血中濃度の低下が起こります。

このため消退性子宮出血としての月経がおこるのでしたね。

ところが、妊娠するとhCGのおかげで黄体の寿命が延び、エストロゲンやプロゲステロンの血中濃度の低下が起こらず、逆に上昇していきます。

このため消退性出血としての月経が起こらないことになります。

これが、妊娠すると生理がなくなる理由だったんですね!

 

では妊娠するとなぜエストロゲンやプロゲステロンが分泌されつづけるのでしょう。

 

それは妊娠すると子宮を大きくさせたり、その収縮を抑えたりして妊娠を維持するためにこのふたつのホルモンは必要不可欠だからです。

 

 

妊娠維持に必要なエストロゲンとプロゲステロンは妊娠7〜8週頃まではこうして黄体から供給されますが、妊娠8〜9週になると胎盤がその役割を肩代わりするようになるため、黄体の役割、ひいてはhCGの役割は終了することになります。
 

以前の記事もご参照ください。

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その1 女性ホルモンとは

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その2 エストロゲンは男性ホルモンからできるって本当?

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その3 エストロゲンという名称の由来は?

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その4 エストロゲンとプロゲステロンは子宮にどのように働く

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その5 エストロゲンとプロゲステロンは子宮の入口でも働いている

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その6 分泌をコントロールするフィードバック機能について

知ってなるほどホルモンと月経のお話 その7 月経周期における各ホルモンの役割

テーマ お薬の話

 

(文責:[医師部門] 片山 和明 [理事長] 塩谷 雅英)

 

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