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5月のおはな

着床障害を改善?子宮内膜スクラッチ法について② 妊娠率はよくなるか

前回は子宮内膜スクラッチ法についてご紹介しましたが、

今回からは子宮内膜スクラッチ法の効果を検証した研究を紹介していきます。

 

まずはじめに

Effects of endometrial injury on frozen-thawed blastocyst transfer in hormone replacement cycles.

(ホルモン補充融解胚移植における子宮内膜スクラッチ法の効果)

 

という研究で、この論文は当院の松本副院長が2017年にReproductive Medicine and Biology誌に発表したものです。

 

本研究では、40歳未満でホルモン補充周期にて凍結融解胚移植を行った方をスクラッチ群(22例)とコントロール群(55例)に分けて結果を比較しています。

 

この研究は前向き試験(※)として検討されており、両群間の年齢や移植胚の個数、移植時の子宮内膜の厚さなど移植に関係する他の因子は全て両群間に差がない状態です。

 

※前向き試験(prospective study)とは偏りなどが起こらないようあらかじめ計画してから実施する研究で、後ろ向き試験(retrospective study)よりも信頼性が高いとされています。

 

なお、胚による結果の差を無くすために検討は全て良好胚盤胞の移植で行っています。

 

 

スクラッチ法は子宮体癌の検診で用いる組織採取キットを用いて、移植前の黄体期に行われています。

 

 

結果を見てみましょう。

 

 

 

上のグラフはスクラッチ群とコントロール群での妊娠率を比較したものです。

スクラッチ群46%に対してコントロール群22%とスクラッチ群の方が良好な妊娠率を得られています。

P=0.038と5%以下の有意差水準ですから統計学的に有意な差と言えそうです。

 

 

 

続いて、妊娠した方を対象に、無事出産まで至ったかを調査しています。

これをみるとスクラッチ群100%に対してコントロール群50%、p=0.032とこれも有意な差を認めています。

 

では、スクラッチにより妊娠の成績がよくなる理由としてどんなことが考えられるのでしょう。

次回はそのことについても見ていきましょう。

 

 

関連する以前の記事もご参照ください

着床障害を改善?子宮内膜スクラッチ法について① 子宮内膜スクラッチ法とは

ハナブロテーマ 「子宮内環境」

 

(文責:医師部門 江夏 徳寿、理事長 塩谷 雅英)

 

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