はなぶさ ブログ

5月のおはな

受精の仕組み④ 精子から持ち込まれるミトコンドリアは卵子によって排除される!

今回は精子から持ち込まれるが機能せずに排除されるものについてお話します。

 

それはミトコンドリアです。

 

ミトコンドリアは細胞内でエネルギーを生産する工場のようなものでたいへん重要な機能を担っています。

 

 

 

図に示すように、精子も体部(中片)にミトコンドリアを持っています。

運動のためのエネルギーを供給していると考えられます。

 

しかし、精子のミトコンドリアは子どもに受け継がれることはありません。受精後、卵子の中で消えてします。
子どもに受け継がれるのは母からのミトコンドリアだけで、現存する人類のミトコンドリアをさかのぼると約20万年前にアフリカに生存していた一人の女性にたどり着きます。

なぜそんなことができたのかと言うと、ミトコンドリアはDNAを持っているので、過去の人骨や化石も含め、世界中の人々のその違いを調べることにより、先祖を特定することができたのです。

そして、その女性は「ミトコンドリア・イブ」と名付けられました。

彼女がいま世界中に存在する全人類の「共通のミトコンドリアの母」なのです。

ところで精子のミトコンドリアが子どもに受け継がれないのはなぜでしょうか。

なぜ卵子により排除されるのでしょうか。

 

それはミトコンドリア間の葛藤があるからです。

卵子と精子のミトコンドリアは共通の「ミトコンドリアの母」に由来していても、現在に至るまでに多くの変異が起こっているので、卵子と精子のミトコンドリアは全く同じではありません。

異なる種類のミトコンドリアが同一細胞内に混じっている状態を「ヘテロプラスミー」と言いますが、病気の原因になることもあり、細胞の生存に好ましいことではないのです。

 

受精の時に精子のミトコンドリアが排除されるのは、その方が胚の生存に有利だからでしょう。
 

以前の記事もご参照ください

受精の仕組み① 射精直後の新鮮精子は卵子と出会っても受精できないって本当?

受精の仕組み②  なぜ多精子受精は起こるのか?

受精の仕組み③  卵子が受精卵へと目覚めるのは、精子からのプレゼントがあるから

 

ハナブロテーマ「精子と卵子」

 

(文責:[研究開発部門] 長谷川 昭子 [理事長] 塩谷 雅英)

 

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