はなぶさ ブログ

6月のおはな

医薬品の添付文書に書かれていること~安全に使用するために、妊婦さんへの使用について

これまで、医薬品の添付文書の中でも薬を安全に使用するための「使用上の注意」の項目が添付文書のなかで大部分のスペースを占めているということをご紹介してきました。

今回は「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の欄についてお話しましょう。

その中でも主に妊婦さんへの使用に関する記載について紹介したいと思います。

 

その薬に催奇形性や妊婦さんへのリスクが疑われるようなデータがある場合には、

 

「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。」

 

と書かれています。いわゆる妊婦さんには禁忌の薬ということになります。

 

しかしながらこのような薬は少なく、多くの場合は、

 

「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]」
のように書かれています。

(ロキソプロフェンナトリウム錠の添付文書より)

 

回りくどい表現ですが、言いかえれば、安全であるというデータはありませんので、必要性をしっかりと判断して使用してください。

といった感じでしょうか。
ちょっと無責任な言い方に感じるかもしれませんね。
これは、薬の開発時の臨床試験(治験)では妊婦さんに使用することが認められないため、実際に妊婦さんがその薬を使ってどうなるかというデータがないためです。

メーカーとしては臨床試験で安全かどうか確認できていないため、本当は「妊娠している場合は使用しないで」と書きたいのですが、添付文書にそう書いてしまうと、医療現場では本来その薬が必要な人であっても妊娠したら使用できなくなってしまいます。
その一つの例がタクロリムスという免疫抑制剤(臓器移植の際に拒絶反応の予防などに使用されます)で、これまで妊婦には使用しないこと(禁忌)とされてきましたが、昨年の7月に最新の情報を集めて、禁忌が解除され、本当に必要な患者さんへは妊娠してからも使用が可能になりました。

妊婦さんの薬の使用については、添付文書の情報だけで判断することは非常に難しいことも多く、文献など様々な情報を活用して行うことになります。
ハナブロの記事でもご紹介していますので、併せてお読みいただければと思います。
薬剤師より「妊娠とお薬外来」について その1  その2
妊娠と薬についてー最新のトピックスを読み解く

妊娠と薬についてー最新のトピックスを読み解く 添付文書の改訂

添付文書はもともと医療従事者向けに作られた説明書なので、この他にもいろいろな情報が載っていますが、一般の方が見られる場合に関心の高そうな項目をご紹介させていただきました。

 

今年の4月からは添付文書の記載要領が約20年ぶりに改訂され、添付文書の中身もより実用的に変わる予定です。

 

とはいえ、記載されている文章や表現は専門用語で分かりにくいことも多いと思いますので、お薬について気になることは遠慮なく薬剤師等にお尋ねください。
 

以前の記事もご参照ください

インターネット時代、誰でも見られる医薬品の添付文書

医薬品の添付文書に書かれていること~使用する上で欠かせない情報
医薬品の添付文書に書かれていること~安全に使用するために「禁忌」ってなに

医薬品の添付文書に書かれていること~安全に使用するために「副作用」について

 

ハナブロテーマ「お薬の話」

 

(文責:[生殖医療薬剤部門] 山本 健児 [理事長] 塩谷 雅英)

 

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