はなぶさ ブログ

10月のおはな

着床前染色体検査(PGT)でモザイク胚と診断された胚① その妊娠率、出産率は?

着床前染色体検査(PGT)は、胚盤胞まで成長した受精卵から細胞を数個採取してその細胞の染色体数を診断する検査で、主として流産率を低下させる目的で行われます。

 

着床前診断によって得られる情報で何が変わるのか?で以前お伝えしたように、着床前診断で正常胚と診断された胚の移植においては、流産率が低い事が明らかになっており画期的な技術であると言えます。
一方で注意が必要なのは正常胚と診断されなかった胚、特にモザイク胚の取り扱いです。

モザイク胚とは、採取した細胞の中に、染色体正常の細胞と異常のある細胞が混在している状態になります。

この場合移植しても良いものかどうか、逆に破棄しても良いものかどうか、悩ましい判断となります。

 

この問題に対する明確な答えは現在のところ出ていませんが、最近モザイク胚に対する臨床研究の報告がありましたのでご紹介したいと思います。
Detailed investigation into the cytogenetic constitution and pregnancy outcome of replacing mosaic blastocysts detected with the use of high-resolution next-generation sequencing

(着床前診断によってモザイク胚と診断された胚盤胞の妊娠成績)
この論文はアメリカのMunne氏らによって2017年にFertility and Sterility誌に報告された研究です。
この研究では、着床前診断を行いモザイク胚と診断された胚盤胞と正常胚と診断された胚盤胞における凍結融解胚移植の結果を比較しています。
 

 

さて、結果を見ていきましょう。

 

この研究ではセンター1からセンター4まで4つの施設で移植を実施していますが、合計でみてみると、着床率はモザイク胚で53%、正常胚で70%とやや正常胚が高くなっています。

 

また流産率はモザイク胚25%、正常胚10%とモザイク胚の方が倍以上高くなっています。

 

結果として継続妊娠率はモザイク胚40%、正常胚63%と正常胚の方が高くなっています。

 

次回はモザイクのパターンと比率による妊娠経過の違いを見ていきます。

 

 

以前の記事もご参照ください

 

ハナブロテーマ 「着床前診断」

 

 

(文責:[医師部門] 江夏 徳寿 [理事長] 塩谷 雅英)

 

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