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10月のおはな

着床前染色体検査でモザイク胚と診断された胚② モザイクのパターンと比率による妊娠経過の違い

着床前染色体検査(PGT)検査においてモザイク胚と診断された胚のについては、移植しても良いものかどうか、逆に破棄しても良いものかどうか、悩ましい判断となるということで、前回よりモザイク胚に対する臨床研究の報告についてご紹介しています。
Detailed investigation into the cytogenetic constitution and pregnancy outcome of replacing mosaic blastocysts detected with the use of high-resolution next-generation sequencing

(着床前診断によってモザイク胚と診断された胚盤胞の妊娠成績)
この論文はアメリカのMunne氏らによって2017年にFertility and Sterility誌に報告された研究です。
この研究では、着床前診断を行いモザイク胚と診断された胚盤胞と正常胚と診断された胚盤胞における凍結融解胚移植の結果を比較しています。
前回、着床率、流産率、継続妊娠率についてその結果を見てみましたが、

今回はさらにモザイクのパターンと比率による妊娠経過の違いを見ていきましょう。

 

 

上の表では染色体異常の割合が20-40%である群と40-80%の群で着床率、流産率、継続妊娠率を比較しています。

 

これをみると、いずれのパターンであっても異常細胞の割合が低い(20-40%)方が高い(40-80%)方よりも継続妊娠率が高くなっている事がわかります。

 

モザイク染色体パターンで比較すると、モノソミー(20-40%)で50%、トリソミー(20-40%)で65%と特にパターンによる違いはなさそうです。

 

ただ、複数のモザイクを有する胚は継続妊娠率10%と他のパターンに比べて有意に低くなっています。

同様に、異常染色体の本数で見ても、3本以上の染色体異常があった場合は継続妊娠率10%と、全体の妊娠率41%に比べて有意に低くなっていることが確認できます。
ということで、結論としては
・モザイク胚でも異常染色体の細胞の割合が40%以下であれば41%が継続妊娠を得られる。
・モザイク胚の中でも異常染色体を含む細胞が40%を超えると妊娠率は悪くなる。
ということでした。

 

当然ながら正常胚に比べると妊娠率が落ちるため、優先順位は低くなりますが、40%以下のモザイクならば41%の継続妊娠率であるというデータを見ると、これによって破棄するのはやはり問題であるように思えます。
着床前診断については未だ解明されていない点も多く残されており、慎重な対応が必要と考えます。
 

以前の記事もご参照ください

着床前染色体検査(PGT)でモザイク胚と診断された胚① その妊娠率、出産率は?

ハナブロテーマ 「着床前診断」

 

 

(文責:[医師部門] 江夏 徳寿 [理事長] 塩谷 雅英)

 

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