はなぶさ ブログ

2月のおはな

着床期に性交渉するとよい?それともよくない?vol.4 論文検討(後半)

今回は、スペインとオーストラリアの比較考察です。

本研究の条件設定をもう一度確認してみましょう。

 

 

ですね。

オーストラリアもスペインも、性交渉を持った群の方が高い妊娠率を記録しましたが、

統計学的有意差が生じたのはスペインの方だけでしたね。

 

なぜオーストラリアでは有意差が出なかったのでしょうか。

本論文では、その理由について以下のように考察しています。

 

1.性交渉の回数

スペインでは2回の性交渉を持つよう指示したが、オーストラリアでは少なくとも1回という指示しかしていなかった。

スペインの方が回数が多かった分、良好な結果につながった。

 

2.「控える」群の期間の長さ

スペインでは治療全期間において性交渉を制限したが、オーストラリアでは移植前後の2日間ずつ、計4日間のみであった。もし精液暴露の好影響が2日間以上持続するとしたら、オーストラリアの「控える」群はその恩恵を受けてしまっている可能性がある。

 

3.データ数

単純に数が少なかったため、統計学的有意差を生じなかった。

少なくともスペインと同様の傾向は認められたので、データ数が多ければ有意差を生じた可能性がある。

 

というところですね。

 

最後に、反対意見についても触れておきましょう。

 

 

これは論文ではなく、2014年のASRMの抄録にあったものです。

実際の発表は見ていないので詳細は不明ですが、概要は以下の通りです。

 

移植周期Day6-12において性交渉を持った群と持たなかった群での妊娠率を後方視的に比較した。

1回の性交渉を持った群は、0回群に対して有意に流産率が上昇した(オッズ比1.59)。2回群はさらに上昇し、オッズ比2.38であった。

日付別で比較するとDay10が最も流産率を上昇させた。

この結果より、移植後の性交渉は控えたほうがよいと考えられる。

 

ということで、これまで見てきた論文とは逆に、性交渉が悪影響を及ぼすとしています。

ただ、これは前提がずいぶん違っていて、移植周期Day6-12という条件で検証していますね。

つまり、移植後1週間にわたり性交渉の影響を見ているわけです。

で、最も流産率が高かったのがDay10で性交渉を持った群ということです。

単一施設での後方視的研究であり、論文化もされていないので、科学的信頼性はもう一歩ですが、内容が内容だけに、知っておいてよいのではないでしょうか。

 

ということで、前回の記事と合わせて結論を出すなら

 

移植前の性交渉は妊娠率の上昇に寄与すると思われるが、

移植後は逆に流産率を上昇させる可能性がある。

 

となりますね。

 

このシリーズは今回で終了です。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

(このシリーズは全4部構成となっています。残りの3部は以下のリンクからご覧ください。)

①『ハナブロQ&A』 (着床期に性交渉するとよい?それともよくない?)

②着床期に性交渉するとよい?それともよくない? vol.2

③着床期に性交渉するとよい?それともよくない? vol.3 論文検討(前半)

 

文責:[医師部門] 江夏 国宏 [理事長] 塩谷 雅英

 

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