はなぶさ ブログ

2月のおはな

『ハナブロQ&A』 (クロミッドが効かなくなった?hMGの注射をすべきでしょうか)

ご質問
いつも興味深く拝読しております。

排卵誘発についてお聞きしたいです。
クロミッドが3錠で効かなかった場合、次回効くことは考えにくいでしょうか?
以前は3錠で効果があった時もありますし、2年前に1年間AIHしていたときは、ずっと1錠で効いていました。

昨年春、採卵をしてから様子がおかしくなりました。
エストラーナテープ等の薬剤も最初の1回しか効かなくて、移植キャンセルが続きました。
恐らく自力排卵も難しいと思われます。

今回も2度目の採卵を今年の春に行い、やはりその後から乱れている気がしますが、医師と話をすることがほぼないので、詳しいことは聞けずにいます。

今回はAIHをするためにクロミッド3錠飲みましたが排卵しそうになく、注射で強制リセットをかけることになりました。

次をどうするか。
①もう1度クロミッドを試す
②少量のhMGを毎日決まった時間に打ちに行く
病院からは②を強く提案されているように感じます。
私としては、②は通院や金銭面も大変ですし、何より最終手段かなと思っております。
実際、hMGなので複数個育ち始めたらキャンセルだとも言われています。
①だと排卵しないかもしれない、②だと労力ばかりかかってキャンセルになるかもしれない。

いろいろと決めかねて相談に及びました。
クロミッドを飲み続けると効果が弱くなるというのはネットで拝見したのですが、体外受精になってからはさほど服用しておりません。

追加の情報です。
年齢:36歳
AMH:0.77(2018年2月)
FSH:6.3(2017年4月)
LH:6.2(2017年4月)

低AMHなので、高刺激でも5つしか採れません。
そこから残るのは過去2回とも2つだけ。
少ないので毎回顕微ですし、胚盤胞まで育てられません。
採卵以降に何か体質が変わるのか、薬への反応が悪くなっています。
卵巣機能不全もあるので、自力排卵はすればラッキーくらいの感じです。
最初の採卵以降のお休みの周期は、注射で月経を起こすことが多かったです。
私としてはAIHに戻りたいのですが、排卵誘発がうまく出来なくては前に進めません。
何より、低AMHも引っ掛かっています。
1度だけAIHで妊娠反応が出ましたが、胎嚢確認が出来ずに判定日後2週間弱で化学流産になりました。

ひたすら治療を試す日々に疲れてしまいました。
都会でしたら合う病院を探せるのだと思いますが、地方なので選ぶ余地もなく…

このような形で勉強させていただけるのは、大変ありがたく存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

お答え

 

いつもハナブロをお読みいただきありがとうございます。

ご質問ありがとうございます。

 

状況を少し整理しますね。

36歳
AMH:0.77(2018年2月)
FSH:6.3(2017年4月)
LH:6.2(2017年4月)

2018年春 採卵1回目
2019年春 採卵2回目
現在はAIHを主体として治療している。

2017年にAIHをしていた頃はクロミッド1錠/日で卵胞発育を認めていたが、最近では3錠/日でも反応しないことが多い。

というような状況のようですね。
そして、
①もう1度クロミッドを試す
②少量のhmgを毎日決まった時間に打ちに行く
という2つのいずれかで悩んでおられるということですね。

以下に見解を述べさせて頂きます。

まず、AIHから体外受精にステップアップした経緯が気になるところです。

卵管の疎通性は確認されたのでしょうか?
子宮卵管造影検査を受けられた上で現在AIHを行っているのであればよいのですが、そうでないとすれば、検査されることを強くお勧めします。

卵管の疎通性がない状態でAIHを行っても、妊娠は望めないからです。

ここから先は卵管の疎通性は問題ないという前提でお話します。

①もう1度クロミッドを試す
→同じ方法を繰り返すのはあまりお勧めできません。

クロミッド2錠/日でも卵胞発育が見られない場合、クロミッド抵抗性があると表現しますが、そういったケースでは3錠/日に増量しても卵胞発育を認めるのは30%弱であり、むしろ2錠/日を繰り返し内服した方が効果的であるとの論文があります。

別記事(Dr.Kの論文日記 その1)をご参照ください。

②少量のhMGを毎日決まった時間に打ちに行く
→クロミッド抵抗性の場合には有効な打開策になります。しかし、何も毎日打ちに行く必要はありません。

自己注射用に開発されたゴナールエフペンという製品がありますので、そちらの使用を相談されてはいかがでしょうか?

ゴナールの自己注射は健康保険を使えます。


メルクバイオファーマホームページより

また、クロミッドとhMG以外にも、レトロゾールなどのアロマターゼ阻害薬が有効であることもありますので、一度は試す価値があると思います。

すなわち、人工授精を行うならば

・クロミッド2錠/日の繰り返し内服
・ゴナール自己注射
・アロマターゼ阻害薬
のいずれかが打開策になりますが、最も期待できるのはゴナール自己注射だと思います。


富士製薬工業ホームページより

 

 
一方で、体外受精についても気になる点がいくつかあります。

・採卵をしてから思うように卵胞発育が見られなくなった
→採卵による刺激が問題だったというよりは、年齢とともに卵巣機能が低下してきたということだと思います。
FSHが今でも6.3であればいいのですが、2年以上前のデータですので、変化していると考えられます。

1年半前のAMHが0.77であった点もそれを裏付ける要因です。

少しでも妊娠の可能性を上げようと考えるなら、やはりAIHより体外受精の方が良いのではないかと思います。

・胚盤胞まで育たない
→これは悩ましい問題ですね。胚盤胞まで育つかどうかは、卵子のポテンシャルや培養環境など、あらゆる因子に影響されます。

こういう場合は初期胚移植が打開策になり得ます。

当院でも、採卵数が少なく、なかなか胚盤胞まで育たなかった患者様が初期胚の新鮮移植で妊娠されたケースが多く見られます。

次回採卵されたときは初期胚の新鮮移植も選択肢の一つとしてみると良いのではないでしょうか。

・エストラーナテープに反応せず移植キャンセルが続いた
→子宮内膜が厚くなりにくいのですね。これもまた難しい問題の1つです。

この問題については、「ハナブロQ&A」その36(子宮内膜が薄め?)に記載しておりますので、ご参考にされてください。

 

また、前述しましたアロマターゼ阻害薬が子宮内膜の受容能の高めることも分かっていますので、もし採卵されるなら、卵巣刺激にはアロマターゼ阻害薬を使用し、必要に応じて注射を併用するというスタイルが良いかもしれません。

主たる目的は卵胞発育ですが、移植においてもプラスに働くことが期待できます。

ただし気をつけていただきたいのは、凍結融解胚移植をホルモン補充周期で行う場合には使用しない方が良いということです。

ホルモン補充周期で卵胞が発育し排卵が起こってしまうと、着床に最適なタイミングがずれてしまうからです。
長文になりましたが、最後に、質問者様の治療が良い結果につながりますことを心よりお祈り申し上げます。

以前の記事もご参照ください

不妊治療でよく使われるクロミッドのお話

不妊治療でよく使われるレトロゾール(フェマーラ)のお話

クロミッド or レトロゾール その違いは? その1 その2 その3

 

 

文責:

[医師部門] 江夏 国宏

2004年 慶應義塾大学法学部卒業

2012年 熊本大学医学部卒業

日本産科婦人科学会専門医

 

[理事長] 塩谷 雅英

 

 

アメンバー募集中です。アメンバーの申請はこちらから。
メッセージはこちらからお送りいただけます。ご質問等もお待ちしております。