はなぶさ ブログ

6月のおはな

『ハナブロQ&A』 (新鮮胚移植でOHSS、いつまで続く? 次回はIVF or ICSI?)

ご質問
こんにちは。
度々質問させて頂いています。
いつもご丁寧にお答え頂きありがとうございます。

7月末に採卵周期に入り、アンタゴニスト法で刺激しました。
採卵3日前のE2が256、採卵数5個で3つが成熟卵、1つ未熟卵、1つが変採卵でした。
当日の精液所見は機械で運動率22パーセント、目視?で39パーセントでしたが顕微はせずふりかけにしました。

翌日2/3受精、翌々日4分割胚グレード2を移植、ET14が判定日で陽性判定でした。
5週で出血し絨毛膜下血腫の診断、その後心拍確認出来ず7週で手術をしました。

クリニックの休診の都合で1日早いホルモン検査でのE2でしたが低い値だったのでOHSSにはならないという判断で新鮮胚移植をしましたが左右の卵巣が7センチと10センチに腫れてしまい、術後1週間で片方はほぼ縮小しましたが片方はまだ7センチほどあります。
これはいつまで残るのでしょうか?
早く縮小させる方法はありませんか?
また腫れた状態のままだと生理は始まりませんか?
AMHが1.45と低いので採卵数は見込めませんが今後も新鮮胚移植をするとOHSS気味になってしまうでしょうか?
(判定後、採血しましたがヘマトクリットの上昇はありませんでした。腹水もほぼなし)
今回陽性判定でたので次も同じ方法で進められたらいいなとおもいますが危険ですか?

また、夫の精液所見があまりよくないのですがふりかけで受精している場合、顕微は不要ですか?
運動率を改善するには生活習慣やサプリメント漢方等、何ができますか?

 

 

お答え

 

いつもハナブロをお読みいただきありがとうございます。

ご質問ありがとうございます。

 

ご質問内容ですが、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)と精液所見を分けて回答します。

OHSSに関して
まずOHSSの方ですが、少し状況を整理しますね。

(採卵前)
・AMHは1.45ng/ml
・アンタゴニスト法で刺激した
・採卵3日前のE2は256pg/ml

(採卵後)
・採卵数は5個(成熟卵3個)
・新鮮胚移植を行った
・妊娠成立したが、心拍確認できず7週で流産手術を行った
・流産手術前は両側卵巣が10cmと7cmに腫大していた
・腹水はほぼなく、ヘマトクリットの上昇はなかった
・流産手術後、片側卵巣は縮小したが、他方は術後1週間の時点で7cmと腫大したままである。

かなり詳細に状況を伝えてくださり、ありがとうございます。
採卵3日前のE2値:256pg/mlだけ見ると、特段OHSSを警戒するような値ではありません。
しかし一方で、実はもう一つ非常に重要な要素があります。
それは、「採卵前々日のトリガーに何を使用したか」です。
トリガーにhCGを使用した場合、OHSSリスクは大きく高まります。

アンタゴニスト法はOHSS予防に非常に有効とされていますが、
それは「トリガーにGnRHアゴニスト(ブセレリン=ブセレキュアなど)を使うことが可能だから」です。
ロング法やショート法は、トリガーにhCGを使わざるを得ないので、OHSSリスクが高くなります。
ですので、アンタゴニスト法であったとしても、トリガーにhCGを使用したとしたら、やはりOHSSリスクは上昇します。

仮に質問者様が今回、トリガーにhCGを使用したのだとしたら、次回はトリガーをGnRHアゴニストに変更すれば状況はかなり変わってくると思います。

また、移植後の黄体補充にhCGを使用するケースもしばしば見られ、これもOHSSを加速させる一因になります。
質問者様がこれに該当するならば、次回はE2製剤とP製剤のみで黄体補充すれば良いかと思います。

現状では流産手術を終えていらっしゃるので、絨毛からのhCG産生は途絶えています。

つまりOHSSを加速させる要因はなくなっていますので、卵巣腫大も徐々に軽快するはずです。
特に追加治療を要する状況ではないと思いますので、このまま待たれて良いかと思います。
卵巣腫大が軽減するまで、自然の月経発来は少し時間がかかるかもしれませんが、それほど長くはないでしょう。

精液所見について
機械で測定した運動率が22パーセントというのは、確かに良好とは言い難いですが、濃度が高ければ精子総数でカバーできるので、一概に悪いとは言い切れないと思います。
今回の受精率が2/3であったことからも、媒精法(ふりかけ法)でもある程度期待が持てると言えそうです。
ただし、「ふりかけ法で受精するなら顕微授精は不要」は言い過ぎです。

受精はIVF=媒精法(ふりかけ法)で期待できるものの、ICSI(顕微授精)を選択することで、受精率がさらに高くなり、あるいは、受精後の胚の成長が改善する患者様もいらっしゃいます。

当院では精液所見の様々な要素を考慮した独自の計算式をもとに受精率を予測しており、その結果次第で受精方法を決定しています。

この場で質問者様に顕微授精が必要かどうかを判断するのは難しいですが、もし次回の精液所見が今回と同等であれば、 媒精法(ふりかけ法)で良いのではないでしょうか。

精液所見を悪化させる生活習慣としては、喫煙・過度の飲酒・睡眠不足・肥満・運動不足・ストレス・不適切な禁欲期間などが挙げられます。

心当たりがあれば、その部分を改善するように努められると良いかと思います。
サプリや薬剤で摂取をお勧めするのは、亜鉛・ビタミンE・ペントキシフィリン・補中益気湯です。

入手可能なものがあれば、試してみられてください。

今回の移植は残念な経過になりましたが、着床したことは前向きに考えられて良いと思います。

次回の治療がうまくいきますよう、お祈り申し上げます。

以前の記事もご参照ください

男性の精液所見に悪影響を及ぼす生活習慣は何か?

禁欲期間は何日が最適?

 

文責:

[医師部門] 江夏 国宏

2004年 慶應義塾大学法学部卒業

2012年 熊本大学医学部卒業

日本産科婦人科学会専門医

 

[理事長] 塩谷 雅英

 

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