はなぶさ ブログ

4月のおはな

透明帯のおはなし―④「透明帯が硬くなる」ってどういうこと?

透明帯は受精すると硬くなります。

透明帯が硬くなるってどういうことなのでしょうか。

 

以前、「受精の仕組み 2. なぜ多精子受精は起こるのか?」の項でお話した「透明帯反応」に関係があります。

受精時には、卵子の周りには複数の精子が集まってきますが、受精できるのは一匹の精子だけです。

 

複数の精子の進入を阻止する機構を下の図で説明します。

図の右上の精子を最初に透明帯に進入する精子とします。

それが卵子と透明帯の隙間(囲卵腔内)に達し、卵細胞膜と融合します。

すると卵子の卵細胞膜近くに存在する表層顆粒が崩壊して、内容物を囲卵腔に放出し透明帯を変化させます。

図では濃いピンクで示しています。

 

これによって、余分な精子の進入は阻止されます。

左の2匹の精子は進入を阻止された精子を示しています。

 

 

しかしこの時、卵子内のすべての表層顆粒が崩壊するわけではありません。

受精卵(胚)の分割とともに表層顆粒の崩壊はさらに進行し、透明帯はさらに硬くなります。

実際、受精卵では透明帯の弾力性が減少していることが確かめられています。

 

卵子にとって、複数の精子が進入することは避けなければなりませんから、受精後、透明帯が硬くなるのは理にかなったことです。

しかし、硬くなりすぎると、これが胚の孵化の障害となります。

 

特に、胚を凍結保存した場合、卵子に残された一部の表層顆粒が胚になってもそのまま残存し、凍結融解の刺激によって崩壊を招き、必要以上に透明帯が硬くなることがあります。

 

不妊治療の施設によっては、必要以上に硬くなった透明帯から、胚が脱出することを助けるため、孵化補助法:AHA(Assisted Hatching)を実施しています。 (゚ー゚)(。_。)。

 

 

 

以前の記事もご参照ください

透明帯のおはなし―①そもそも透明帯って必要なの?

透明帯のおはなし―②もしも透明帯がなかったら・・・

透明帯のおはなし―③ヒトでも発見!透明帯遺伝子のない卵子

ハナブロテーマ「精子と卵子」

 

文責:

[研究開発部門]

長谷川 昭子

医学博士、兵庫医科大学非常勤講師、日本受精着床学会評議員
[理事長] 塩谷 雅英

 

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