はなぶさ ブログ

5月のおはな

透明帯のおはなし―⑥哺乳類以外の動物にも透明帯はあるの?

前回、マウス(ネズミ)とクジラでは体の大きさは大変異なるのに、卵子の直径は、2倍くらいの差しかないというお話をしました。

 

哺乳類以外の動物ではどうでしょう。私たちが普段食料にしている鳥や魚のたまごは、哺乳類の「卵子」と比べてたいへん大きいですが、その全体が卵子に相当するわけではではありません。

私たちが食しているたまごの大部分は卵黄曩という栄養のはいった袋です。

 

一般に鳥や魚の胚は母親から胎盤を通して栄養をもらうことができないので、孵化まで卵黄曩から栄養を摂取しているのです。

卵子は、普段私たちが見ているたまごのごく一部です(^^)。

鳥や魚の透明帯のかたちは、哺乳類と同じではありませんが、よく似た遺伝子はあります。

今回のシリーズ「透明帯のおはなし―①」で、ヒトの透明帯は、ZP1, ZP2, ZP3, ZP4の4つの糖タンパクから成るとお話しましたが、これらの糖タンパクに対応する遺伝子が、ほかの動物ではどうなっているのか、ちょっとマニアックなお話になりますが、興味のある方はお読みください(·∀·)。

下図に示すように、セキツイ動物は進化して、魚類(灰色)、両生類(黄色)、鳥類(緑)、哺乳類(赤)に分かれました。

 

透明帯遺伝子の種類と数は動物によりさまざまで、ZPC/ZP3,  ZPD,  ZPAX,  ZPA/ZP2,  ZPB/ZP4,  ZP1などがあります。

ウナギ、メダカ(魚類)、カエル(両生類)、フィンチ、チキン(鳥類)、ヒト、マウス、イヌ、ブタ、ウシ(哺乳類)は、それぞれ複数の透明帯の遺伝子を持っていますが、その組み合わせは異なります。

遺伝子によっては、二倍になっていたり、発現しない偽遺伝子になっていたりします。

哺乳類に限って見ただけでも、動物の種類によって異なっています。

 

ちなみにヒトとチンパンジーは、進化の過程という時間軸で見ると最近分岐したので、透明帯遺伝子はほとんど同じです(^-^)。

図に示すように、太古の昔に透明帯の先祖遺伝子が現れ、それが動物の進化に伴って複製や変異を繰り返し、現存する動物の「透明帯遺伝子の多様性」に至った、というわけです。

 

透明帯に限らず動物の進化は、偶然の変化の連続であり、必然性はないと言われています(‘▽’*)。

 

 

 

以前の記事もご参照ください

透明帯のおはなし―①そもそも透明帯って必要なの?

透明帯のおはなし―②もしも透明帯がなかったら・・・

透明帯のおはなし―③ヒトでも発見!透明帯遺伝子のない卵子

透明帯のおはなし―④「透明帯が硬くなる」ってどういうこと?

透明帯のおはなし―⑤卵子の大きさは動物によってどれくらい違う?

透明帯のおはなし―⑥哺乳類以外の動物にも透明帯はあるの?

 

ハナブロテーマ「精子と卵子」

 

文責:

[研究開発部門]

長谷川 昭子

医学博士、兵庫医科大学非常勤講師、日本受精着床学会評議員
[理事長] 塩谷 雅英

 

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