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12月のおはな

着床前診断(PGT)について⑥ PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)の限界について

今回はPGT-A(着床前胚染色体異数性検査)の限界についてお話したいと思います。

 

【検査の限界】
検査精度は100%ではありません。

 

詳しくは後述の技術的限界ところに記載しておりますが、
・PGT-Aは、胚の染色体について調べる検査のため、染色体異常のある赤ちゃんを出産する確率を下げることは期待できますが100%ではありません。

 

・また、染色体異常以外の赤ちゃんの病気についても調べることはできないため、100%健康な赤ちゃんであることを保証するものではありません。
・PGT-Aは歴史が浅く、赤ちゃんに対する長期的影響はまだわかっていません。
・検査ができない、あるいは不成功に終わる可能性があります。
・A:適(最適)と判定された胚でも、倍数性異常(3倍体や4倍体)(図1)※1 や均衡型転座(図2)※2 である可能性は否定できません。
※1 … 2本セットの染色体が、すべて3セット(3倍体)や4セット(4倍体)になる変化。
※2 … 染色体の一部分同士が入れかわる染色体の形の変化。入れかわる前と後で、全体としての染色体の量は変わらない変化のため、基本的にご両親と同じであれば健康上の問題はありません。

 

(図1 倍数性異常)

 

 

(図2 均衡型転座)

 

 

【注意事項】
検査の結果、移植できる胚がない場合もあります。
性別など、移植に適するか否かの判定結果以外の情報は、ご希望があった場合でも開示しません。

 

 

【技術的限界】
検査の誤判定率は 5〜15%と報告されています。

検査をする細胞は将来胎盤などになる細胞であり、赤ちゃんになる細胞は傷つけないように細胞を採取(生検)します。

 

実際に採取するのは数細胞のみで、胚盤胞全体の 2.5%程度にあたります。

そのため、結果が『正常』であっても、胚盤胞全体では『異常』な細胞を含んでいる『Mosaic(モザイク)』である可能性を否定することはできません(下記図参照)。

このように、『正常』と判定された場合の胚でも検査した部分以外に異常な細胞があることで染色体異常のある赤ちゃんを妊娠・出産する可能性があります(図b)。

反対に、『異常』と判定された場合の胚でも赤ちゃんとなる細胞の染色体は正常である可能性もあります(図c)。

 

つまり、染色体異常のない赤ちゃんとして生まれる可能性のあった胚を破棄してしまう危険性もあるというこ とです。

 

 

次回はPGT-Aに関するよくあるご質問とお答えをまとめてご紹介したいと思います。

 

 

以前の記事もご参照下さい

着床前診断(PGT)について① 着床前診断(PGT)とは~PGTの種類について

着床前診断(PGT)について② 医療行為として行う着床前診断(PGT-M, SR)について

着床前診断(PGT)について③ 臨床研究として行う着床前診断(PGT-A)について

着床前診断(PGT)について④ PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)実際の流れについて

着床前診断(PGT)について⑤ PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)における検査結果について

 

文責:

[培養部門] 塚本 樹里 石田 詩織 薄田 早季

[認定遺伝カウンセラー] 中原 恵理

[不妊コーディネーター部門] 山本 健児  [理事長] 塩谷 雅英

 

 

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