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7月のおはな

当院が発表した論文の紹介 卵管留水腫のための片側または両側卵管切除後の採卵数について

当院では診療とともに、生殖医療の発展に向けてさまざまな研究にも取り組んでいます。

今回は、当院の水澤友利医師らが今年(2020年)、Health Science Reportに発表した論文を紹介したいと思います。

タイトルは

「A retrospective analysis of ovarian response to gonadotropins after laparoscopic unilateral or bilateral salpingectomy for hydrosalpinges」

「卵管留水腫のための片側卵管切除または両側卵管切除後の卵巣のゴナドトロピンに対する反応に関するレトロスペクティブ(後方視的)研究」

というものです。

 

 

 

 

 

内容を簡単にご紹介しましょう。

体外受精治療を行う際に、卵管水腫が認められる場合には卵管切除を行うことが妊娠率や出産率を上昇させるのに有益と考えられています。

一方で、卵管切除術が卵巣の機能に影響を与える可能性を示唆する報告もあります。

そこで今回当院では、卵管水腫のため、片側の卵管を切除した場合と両側の卵管切除を行った場合で、卵巣のゴナドトロピンに対する反応、採卵できた卵子数、および胚発生に及ぼす影響を比較する後ろ向き研究を実施しました。

その結果、片側の卵管切除術は卵巣の体外受精治療による排卵誘発剤(性腺刺激ホルモン)に対する反応や採卵できた卵子数に影響はありませんでしたが、両側切除を行った場合はこれらが低下する可能性があることがわかりました。

このことは、卵管水腫のために片側卵管切除術を必要とする女性では、手術後も同じくらいの数を採卵できるため、手術のタイミングをあまり気にする必要がないと考えられますが、
両側卵管切除術が必要な場合には、手術後に卵巣の反応が低下する可能性があるため卵管切除術を提案する前に採卵を行っておくなどの配慮が可能となることが示されたのではないでしょうか。

以前の記事もご参照ください

卵管が腫れる?卵管水腫について その1
卵管が腫れる?卵管水腫について その2
 

文責:[不妊コーディネーター部門] 山本 健児  [理事長]  塩谷 雅英

 

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