英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

胚培養スタッフより

はなぶさコラムス

当院胚培養スタッフからお届けするコラムです。一般の治療ではなかなか見えにくい部分をお届けしています。

卵管水腫について(2010年4月)

卵管水腫とは卵管粘膜の癒着や卵管腔の閉塞が起こり、卵管腔に分泌液が貯留する病態のことです。
卵管水腫は不妊症の原因の一つとなり、体外受精治療においては胚移植後の着床率の低下につながる要因とされています。卵管内に溜まった分泌液が子宮内に流入して着床を邪魔したり、その分泌液自体が受精卵の発育や子宮内膜の受精卵を受け入れようとする力に悪影響を与える等して、着床率の低下をもたらすとされています。

それでは、その卵管水腫に対してはどのような治療があるのでしょうか?体外受精治療前に考える一般的な治療法としては、卵管切除術や卵管開口術、卵管結紮術などがあります。一方、胚移植前に水腫内容液を吸引するだけで妊娠成績が改善されたという報告もなされています。そこで私達は、卵管水腫に対する処置の有無と処置方法別の胚移植後の妊娠率を検討しました。無治療群(卵管水腫に対する処置を行わなかったグループ)、吸引群(胚移植前に卵管水腫内容液を穿刺・吸引したグループ)、手術群(移植周期の前に卵管手術を行ったグループ)に分け、移植後の妊娠率を検討したところ、以下の様な結果となりました。

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卵管水腫に対する処置方法別での妊娠率は、手術群で高い傾向がみられました。水腫内容液の吸引を行うことで妊娠率の改善がみられたという報告もありますが、私達の検討においては、妊娠率に関して吸引群は無治療群よりも低く、その有用性は認められませんでした。累積妊娠率の検討では無治療群では、移植5回目以降での妊娠例はなく、3回の移植で累積妊娠率は30%でほぼ平坦になったため、3回移植をトライして妊娠に至らない場合には卵管手術を考慮した方がよいと考えられました。

以上のことから、水腫に対する治療をしなくても妊娠が成立することもありますが、3回の移植までに妊娠に至らない場合、以後卵管水腫に対して、無治療での妊娠成立は難しく、卵管手術を考慮することが望ましいことが示唆されました。

胚培養部門 サブリーダー 江口 素子

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