英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

当院で妊孕性温存をご希望の患者さまへ

診療・治療

妊孕性とは、「妊娠するための力」のことをいい、女性にも男性にも関わることです。がん等の治療では、手術や抗がん剤治療、放射線治療などによる影響で、妊孕性が低下したり失われることがあります。しかし最近では、医療の進歩に伴い、がん等の病気を克服できる方が増えてきており、将来お子さんをもつ可能性を残す選択もできるようになりました。 妊孕性温存とは、がん等の治療前や治療中に妊孕性を残しておくことをいいます。当院で妊孕性温存についてご希望の方は当院ホームページまたはお電話でご予約ください。

受診方法

女性の方へ

  1. 当院ホームページまたはお電話(078-392-8723)でご予約ください。
  2. かかりつけ医からの「紹介状」をご持参ください。
  3. 「問診票」と「事前アンケート」をダウンロードし、ご記入し、ご持参ください。
  4. 三宮クリニック7階受付にお越しください。
    体調がすぐれない方は受付時、お申し出ください。

男性の方へ

  1. 当院お電話(078-392-8723)でご予約ください。
  2. かかりつけ医からの「紹介状」をご持参ください。
  3. 「問診票」と「事前アンケート」をダウンロードし、ご記入し、ご持参ください。
  4. 三宮クリニック7階受付にお越しください。
    体調がすぐれない方は受付時、お申し出ください。

公的助成金を希望される患者さまへ

2021年4月から妊孕性温存療法を受ける患者さんに対し、全国で公的助成制度が開始されましたが、公的助成金が支払われるためには日本がん・生殖医療登録システム(新JOFR)へご参加いただく必要があります。

専用のアプリによって、スマホなどから患者さま自身で情報を入力してください。
入力後、会員番号の取得が必要です。下記の開設動画を参考にしてください。

解説動画:がん治療を始める前に、妊孕性温存について知っておいていただきたいこと~女性編~

解説動画:がん治療を始める前に、妊孕性温存について知っておいていただきたいこと~女性編~

解説動画:がん治療を始める前に、妊孕性温存について知っておいていただきたいこと~男性編~

解説動画:がん治療を始める前に、妊孕性温存について知っておいていただきたいこと~男性編~

女性の妊孕性温存

抗がん剤治療に伴う卵巣機能低下について

治療前の卵巣機能には大きな個人差があります。また抗がん剤治療(化学療法)が卵巣機能に与える影響は、年齢や抗がん剤治療の内容にもより、個人差があります。化学療法を行った場合、治療開始から2 ~3ヵ月のうちに卵巣機能が抑制され、月経が見られなくなることがあります。 一般に、年齢が高いほど、化学療法によって月経が停止する確率が高くなることが知られています。治療後、月経が再開し自然妊娠する人がいる一方、卵巣機能が回復せずそのまま閉経を迎えてしまう方や、月経が再開しても自然妊娠が困難となる人も少なくありません。

将来の出産のために妊孕性を温存する方法について

妊孕性温存のための手段としては、いくつかの選択肢があります。まず、初潮を迎えるまでの思春期前であれば、卵巣組織を凍結する以外には方法がありません。すでに初潮があった思春期以後であれば、治療中の卵巣への影響(卵巣毒性)を減らすために一時的に卵巣の働きを止める薬剤(GnRHアゴニストや経口避妊剤)を使用することがあります。放射線治療を行う場合は、前もって放射線の当たらない場所へ卵巣を移動させる方法があります。生殖医療という方法になれば、受精卵凍結、卵子凍結、卵巣凍結という方法があります。

生殖医療の基本的な治療の流れは、下記のとおりです。

    1. 受精卵凍結の場合
      排卵誘発⇒採卵⇒体外受精⇒受精卵の凍結保存 →→→融解⇒胚移植
    2. 未受精卵(卵子)凍結の場合
      排卵誘発⇒採卵⇒未受精卵の凍結保存→→→融解⇒体外授精⇒胚移植
    3. 卵巣組織凍結の場合
      卵巣組織採取⇒卵巣組織凍結保存
      →→→卵巣組織融解⇒卵巣組織移植⇒自然排卵による自然妊娠または卵巣刺激による採卵⇒体外受精

受精卵凍結が一般的ですが、パートナーがおられない場合には卵子凍結となります。また化学療法まで時間がなく排卵誘発ができない場合には、卵巣凍結を行います。

ただし、すべての方法が一般的に行われているわけではありません。卵巣毒性を減らす治療は、効果がないという報告もあり、確実ではありません。また、新しい生殖医療の技術はまだ確立したものではないため、すべての生殖医療機関で提供されているわけではありません。

以下に、妊孕性温存のための手段についてまとめた表を示します。

卵子凍結の実際の治療の流れ

詳しくは当院体外受精教室テキストをご参照ください。

卵子の採取(採卵)までの主な流れ

女性は月経周期毎に一つの卵子が排出(排卵)されますが、卵子を採取(採卵)するためには数個成熟した卵子を採り出せるように排卵誘発剤(内服や注射)を使用します。排卵誘発剤の治療をする前には、一般状態やホルモン状態を調べる血液検査を行います。排卵誘発をしているときには卵胞の発育状態を確認するためにエコーや血液検査を行う数回の通院が必要となります。注射のみの場合は自己注射教室を受講していれば自宅での注射が可能となります。排卵誘発剤は卵巣を刺激するために、中には卵巣過剰刺激症候群といって卵巣が過剰に腫れたり、稀ですが腹水や胸水により安静の保持が必要になる場合もあります。

将来の妊娠率を上げるためには複数個の卵子の採取をお勧めしていますので、採卵が数回に及ぶ場合もあります。

採卵当日の流れ

超音波で卵胞が十分成熟すると卵巣から卵子を取り出します(採卵)。採卵は卵子が少ない場合は痛み止めの薬を使用しますが、複数ある場合は局所麻酔あるいは静脈麻酔を使用します。麻酔を使用した場合には、麻酔ショックなどの危険を伴う場合があります。採卵時は腹腔内にある卵巣に針を刺すため、稀ですが腹腔内出血を起こし、入院や手術を要したり、術後に感染や発熱を起こし治療を要する場合があります。

採卵は午前中に実施しています。事前の超音波で確認していた卵胞の数と同数の卵子を採卵時に回収できない場合もあります。(採卵時には排卵が起こっていたり、卵巣の位置によっては卵子が取れなかったり、成熟した卵子に成長していなかったり、もともと空っぽだったりなど)

採卵が終わったあと

静脈麻酔を使用した後は1時間程度休んで帰宅していただきますが、鎮痛薬や局所麻酔時は数分間休んでから、医師からの説明後昼頃に帰院できます。卵巣の状態を確認するために、採卵後1週間後くらいに受診をしていただきます。採卵時に取り出した卵子は凍結後、大切に保存されます。

卵子凍結費用について

治療内容

費用

採卵

77,000円

初回凍結(一年間)

77,000円

  • 診察、注射代、検査代、採卵時麻酔代は別に必要です

保存期間について

凍結した卵子の保管期限はご本人の生殖可能年齢を過ぎるまで(当院では50歳まで)です。この期間を過ぎた場合、通知のうえで破棄を行うことがあります。また、凍結に同意された方の破棄の意思があった場合やご本人が死亡された場合は直ちに破棄をしますのでご連絡下さい。

卵子凍結保存期間は一年毎の更新となるため、更新前に申請が必要です。

(一年毎、22,000円/年となります。)

今後凍結した卵子を用いての治療をお考えの方へ

凍結された卵子は、原疾患の主治医より妊娠許可が出ていれば、必要時に融解をして顕微授精を行い、受精した胚は移植可能となります。融解希望前には相談にいらしてください。融解する時期はご希望の時期があると思われますが、妊娠可能年齢や妊娠に伴う合併症、育児の年齢のことを考え適切な時期にしていだくことをお勧めします。

妊娠率、出生児への影響

成熟した卵子は凍結時の物理的影響を受けやすく、融解時に必ず元通りの状態になるとは限りません。融解時の卵子生存率は90%前後で受精卵と比較して低いといわれています。精子と受精させた場合の受精率は75%前後で、融解卵子あたりの臨床妊娠率は5%前後といわれています。この妊娠率は技術の進歩とともに上昇してきています。

先天異常児を出産する確率は自然妊娠と同様とされていますが、流産率は高い傾向にあります。

本法の実施が原疾患の予後に影響を及ぼす可能性

排卵誘発剤使用に伴い女性ホルモン(エストロゲン)が上昇します。原疾患の種類によっては、女性ホルモンの感受性が高いものもあり、その原疾患に対する影響は十分には解明されていません。

男性の妊孕性温存

がん治療に伴う造精機能障害について

抗がん剤や放射線は精巣を直接障害することは周知の事実ですが、脳腫瘍などの場合は、性腺刺激ホルモン(FSH、LH)を産出する脳下垂体などが障害され、間接的に精巣に悪影響を与える可能性があります。治療前の精巣の造精機能(精子を造る機能)にはもともと大きな個人差があります。また抗がん化学療法、放射線治療が精巣機能に与える影響は、年齢や抗がん剤の種類、容量や放射線照射の部位、容量にもより、個人差があります。

抗がん化学療法や放射線治療を行った場合、治療開始から数日~数ヵ月のうちに造精機能が低下し始め、その後無精子症になる可能性があります。がんの種類、程度によって使用する抗がん剤の種類、容量、放射線治療の要否が異なります。がん治療中、治療後に無精子になっても造精機能が元通りに回復し、数ヶ月~数年して再び精子を認めるようになる方もいらっしゃいますが、永続的に無精子になってしまう方もおられます。

将来お子様を望まれる場合、妊孕性を温存する方法について

妊孕性温存のための方法をお示しします。これらの方法はがん治療開始前に試みることが望ましいですが、既にがん治療中の方、治療後の方にも同様に行うことが可能です。まず、思春期前であれば精巣生検を行って精巣組織(精原幹細胞)を採取して凍結する以外には方法がありません。すでに精通(射精ができるようになること)があった思春期以後であれば、精液検査を実施して精子を認めれば、それを凍結保存することができます。精液検査で精子を認めない場合は、精巣内精子採取術(TESE)によって精巣組織を一部採取し、そこに精子を認めれば凍結保存します。採取した精巣組織内にも精子を認めなければ、基本的には凍結はできません。また勃起不全などが原因で、思春期以後であっても射精ができない場合は、電気的あるいは機械的刺激によって射精を試みるか、TESEを行って精巣精子凍結を試みます。その他、精巣がんの方の場合には、手術の際摘出した精巣の中で、がん以外の正常組織内に精子を認めればそれを凍結する方法(onco-TESE)や、先述のように脳腫瘍の場合など性腺刺激ホルモン分泌が低下することによって無精子になった方には、FSH、LH製剤を注射することによって精子形成を促すホルモン補充療法があります。なお、精子凍結が可能であった場合、凍結期間に関してはその後の治療成績に影響は与えないと考えられています(つまり何年凍結しても治療に用いることができると考えられています)。

下記に、妊孕性温存のための手段について簡単にまとめた表をお示ししますが、これら全ての方法が一般的に行われているというわけではなく、全ての生殖医療機関で提供されているわけでもありません。個々の方法に関する詳細は後述します。

妊孕性温存の方法

それぞれの方法について

精液検査、精子凍結

なるべく2、3日の禁欲期間をおいて実施します。当院メンズルームないしご自宅でマスターベーションにて専用容器内に射精していただき、検査に提出します(ご自宅で採取される場合は、あらかじめ専用容器をお渡ししますので取りに来ていただき、採取後は2時間以内にお持ちいただきます)。精子が確認できれば数本の専用容器に分けて凍結保存いたします。精子が確認できなければTESEを行います。

精液検査、凍結費用

費用

精液検査

8,800円

初回凍結(一年間)

41,800円

凍結更新(一年間)

22,000円

診察代は別に必要です

若年がん患者妊孕性温存治療支援事業の対象になります。自治体ホームページをご確認ください。

精巣内精子採取術(TESE)

精液検査で精子を認めない方、あるいは射精そのものが出来ない方に行う手術です。通常、精巣容積や精巣エコー検査、更に下垂体性腺ホルモン(FSH、LH、テストステロン)検査、染色体検査、AZF遺伝子検査を行い、その結果を確認後に手術しますが、がん治療開始までの期間が短く、手術を急ぐ必要がある方の場合はその限りではありません。何らかの原因で精子の通り道(精巣上体、精管、射精管)の閉塞の可能性が高い、閉塞性無精子症が疑われる方にはsimple-TESEを、造精機能障害の可能性が高い、非閉塞性無精子症の方にはmicro-TESEを行います。手術は当院手術室で局所麻酔下に行い、手術時間は10-90分程です。手術の詳細に関しましては当院男性不妊外来担当医師から説明いたします。精子が確認できれば凍結保存しますが、精子が確認できない場合は、現状では組織を凍結保存しても治療に用いることができません(ただし、精原幹細胞あるいは未熟精子細胞が採取できた場合は、今後の医療技術の進歩により治療に用いることが出来るようになる可能性があります)。

精巣腫瘍と診断された方は精巣摘出術が必要になりますが、精巣摘出術前の場合には、精液検査で精子を認めなければ、摘出した精巣の正常部分から精子を回収できる可能性があります。この、摘出した精巣から精子を採取する手術のことをonco-TESEと言います。onco-TESEを希望される場合、当院では精巣摘出術は実施していないため、精巣摘出を行う予定の施設と連携しながら予定を組みますが、施設によってはonco-TESEを実施出来ないこともあります。詳しくは当院男性不妊外来担当医師とご相談下さい。

TESE、精巣組織処理、凍結費用

費用

simple-TESE

220,000円
初回凍結代は含んでいます

micro- TESE

330,000円
初回凍結代は含んでいます

凍結更新(一年間)

22,000円

診察代は別に必要です

若年がん患者妊孕性温存治療支援事業の対象になります。自治体ホームページをご確認ください。

電気刺激・機械的刺激による射精

思春期以後であっても、勃起不全、その他の器質的、機能的異常により射精出来ない方に行いますが、痛みを伴うため、通常は全身麻酔下に行います。当院では行っておらず、また本邦で実際に行っている施設も不明のため、他の施設をご紹介させていただくことも出来ません。当院におきましては、射精出来ない方には先述のTESEを行っています。

精原幹細胞採取、保存

思春期前の方は、射精液を採取することが出来ません。また、通常この時期は精巣内でも精子形成は行われていませんので、TESEを行っても精子は採取できません。そのため、精巣の組織の一部を採取(生検)し、そこに精原幹細胞(精子の元になる細胞です)ないし未熟精子細胞を認めればそれを凍結保存して、将来の妊孕性を温存する方法が試みられています。現在のところ精原幹細胞を治療前に採取し、凍結保存後融解して、ご自身や異種動物に移植して精子まで分化成熟させる方法が実験的に試みられていますが、癌細胞の混入等のリスクの問題や保存・移植に関する技術的問題によって現実にはほとんど行われていません。また同様に精原幹細胞を採取して凍結後、融解して体外で培養し分化成熟させる方法も試みられていますが、これも実験的な治療であり、技術的にも現在のところ確立されていません。つまり、これらの方法は将来の医療技術の進歩に期待して行う治療です。当院では鎮静剤を使用しながら局所麻酔での手術を行っています。

その他

凍結期間について

凍結した精子、精巣組織の保管期限は、男性の場合は特に設けておりません。凍結は1年毎の更新性であり、期限を過ぎた場合、通知のうえで破棄することがあります。また、凍結に同意された方の破棄の意思があった場合やご本人が死亡した場合は直ちに破棄します。なお先述のように、凍結期間に関してはその後の治療成績に影響は与えないと考えられています(つまり何年凍結しても治療に用いることができると考えられています)。

凍結した精子、精巣組織を用いて治療をお考えの方へ

凍結された精子、精巣組織を用いて治療をお考えの場合、融解希望前に男性不妊外来を受診し担当医とご相談ください。基本的に凍結後に融解した精子を使用する場合は、パートナーの女性の卵子と顕微授精を行う必要がありますので、ART(生殖補助医療)が前提となります。融解する時期はご希望の時期があると思いますが、育児の年齢のことを考え適切な時期にしていだくことをお勧めします。

出生児への影響

治療後に精子を認めても、精子の染色体異常やDNA損傷が高率に起こっている可能性が指摘されていますが、治療前でも同様に、高率に染色体異常やDNA損傷を認める可能性が報告されています。また、そもそも精子、精巣組織は凍結時の物理的影響を受けやすく、融解時に必ず元通りの状態になるとは限りません。そういった精子を用いた生殖補助医療の結果得られた児への、異常の伝播や発症頻度に関して明確に記した報告は現在のところ認めていません。奇形児を出産する確率は自然妊娠と同様とされていますが、生殖補助医療の成績(妊娠率等)はやや不良になる傾向があります。

最後に

がんの治療は精神的にも肉体的にも大変な負担と思われます。

「がんを克服し、いつか赤ちゃんがほしい」とお考えの方の不安が少しでも軽減され、安心してがんの治療に取り組んでいただけるようになれば嬉しく思います。

英ウィメンズクリニックでは、最高のハード、ソフトを駆使して皆様の治療をサポートします。また、医師、看護師、胚培養士、その他スタッフ一同、日々研鑽しております。

全ての患者様に良い結果を得ていただけるよう精一杯努力する所存です。

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