英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

カウンセラー・ナースコラム

はなぶさコラムス

遺伝的要因から不妊のカウンセリングを行う遺伝カウンセラー、心の専門家である心理カウンセラーからお届けするコラムです。 遺伝カウンセリング、心理カウンセリングの予定はこちらからご覧頂けます。

遺伝:「パパナビ その3」(2009年10月)

☆妊娠8~11週(3ヶ月)
 胎児は、身長7.5~9cm、体重15~30gほどに成長します。ようやく赤ちゃんらしいからだつきになってきます。

妊婦はつわりが最も辛い時期です。つわりの症状は、慢性胃炎や船酔いが何日も、何週間も続くものと考えると少し実感が湧くかもしれません。妻が一日中横になって休んでいたとしても無理からぬこと、ですね。つわりのしんどさで精神的に不安定になるかもしれません。
妊婦にとって胎児はいわば“異物”です。通常であれば異物を排除しようとする免疫システムが働くのですが、妊婦と胎児は10ヶ月も同居するわけです。妊娠初期にその違和感がつわりとなるのでは…と、科学的根拠はないのですが勝手に推測しております(実はこのあたりの免疫機能についてはまだよく分かっていない部分が多いと聞いています)。
 
この時期も、受精卵で起こっていた問題による流産の可能性が依然としてあります。心拍が確認できた後の流産になるため、心理的にはより辛い体験かもしれません。万が一、そのようなことがおこれば、ご夫婦でそのことをしっかり話し合うことも大切なことと思います。前回も少し書きましたが、流産のほとんどは誰にでも起こりえるものです。一般に、妊娠が分かった方の15~20%くらいに流産が起こるといわれています。また流産の半分以上(最近の研究では60~70%)は受精卵の染色体異常が原因です。この場合、遺伝子の過不足があるため“からだづくり”ができなくなっての流産なのですから、妊娠期間中どんなに安静にしていても流産を防ぐことができません。それに、遺伝するものでも特別な体質の人にだけ起こるものでもありません。不妊治療をされている方にとって流産は辛いもの、避けたいものにです。その一方、生物としての自然淘汰のシステムが働いたのだという視点もあるのです。

 さて、超音波でみる胎児はまだ小さくても一生懸命からだを作ってます。からだづくりは、最初は大雑把に、そして徐々に細かい部分ができていきます。手は最初ミトンの手袋のようです。その後、アポトーシス(プログラム細胞死)というメカニズムにより水かきのある指から分離した指になっていきます。手の指のほうが足の指より早くできるようです。妊娠10週頃までには、手足の指はほぼできあがるようですが、外生殖器の区別はまだつきません。

参考文献:PaPa Navigation Book ㈱赤ちゃんとママ社
     受精卵からヒトになるまで 原著第4版 医師薬出版㈱

遺伝カウンセラー 松田圭子

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