英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

理事長コラム

はなぶさコラムス

当院理事長 塩谷雅英が毎日の診療の中、見えてきたこと、皆様に是非お伝えしたいことなどをつづったコラムです。

第78回 精子のお話(2013年5月)

精子は今からおよそ330年前の1677年、ドイツの顕微鏡学者レーウェンフックによって発見されました。「精虫はなんきん豆に長い尻尾をつけたようなもので、ウナギが泳ぐようにその尻尾を動かして前進する」と記しています。いまでこそ、保健体育の授業で習いこれくらいのことは常識になっていますが、当時の人たちはさぞかし驚いた事でしょう。ちなみに、ヒトの卵子は直径0.1mで、肉眼でもかろうじて見る事ができる大きさですが、精子を肉眼で見る事はできません。それではもう少し詳しく精子の事を説明しましょう。精子の頭部には、遺伝子が凝縮して収まっています。遺伝子とはヒトの体の設計図です。ヒトの体を作るための設計図ですから膨大な量です。本に例えるなら何百冊分にもなるでしょう。これだけの情報を、たった5ミクロン(1ミリの2百分の1)の大きさの頭部におさめています。精子は整理整頓が上手と言わざるを得ません。頭部のすぐ近くには、精子の尻尾(尾部)を動かすエンジンがあります。このエンジンの正体は、糖を分解してエネルギーに換えるミトコンドリアです。もし、精子をそのまま拡大できれば、F1のスーパーカーよりもはるかにパワフルな乗り物ができる事でしょう。このような奇跡的な精子ですが、思春期を過ぎた男性の体の中では、毎日何千万個もつくられ、そして射精されますが、その殆どは卵子に巡り合う事も無く消えて行ってしまう運命にあるのです。

執筆:理事長 塩谷雅英
 

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