不妊治療の知識

11月のおはな

人工授精による治療(AIH)

自然の妊娠の成立においては、精子は膣の中に射精されます。射精された精子にとって、受精の場である卵管膨大部へたどり着くことは容易ではありません。精子濃度が低い場合や、運動率が低下している場合はなおさらです。
また、頚管粘液が精子を通しやすくなるように変化していなければ、精子にとって子宮内へ進むことは大変困難になります。
一方、受精の場である卵管膨大部で、小さい卵子と精子が出会う可能性が高くなるためには、なるべくたくさんの精子が必要となります。
少しでも多くの精子が卵管に届くようにする方法が、人工授精です。
人工という名前がついていますので、敬遠される方もおられますが、妊娠そのものの成立は自然に近く、簡単で苦痛のない治療です。
頚管粘液に異常がある場合や、精子の状態に問題がある場合には、まずお勧めする治療ですが、頚管粘液や精子の状態に問題がない場合でも、なかなか妊娠が起こらないときには、まず試みる治療です。

人工授精の2つの治療方法
直接的な人工授精

マスターベーションにより専用容器に採取した精液の一部を、そのまま子宮腔内に注入しますので、精液中に含まれるプロスタグランディンの作用により子宮が収縮し、痛みを自覚することがあります。また、精液中には細菌が含まれていることがあり、感染の原因となることがあるので注意が必要です。

洗浄・濃縮人工授精

マスターベーションにより採取した精液を培養液と混和し、遠心分離して精漿を除去し、精子を濃縮した後、子宮腔内に注入する方法です。
精液に含まれる細菌をある程度除去し、プロスタグランディンの量も減りますので、痛みや治療後の感染は軽減されます。また、精漿を除去することにより精子の運動が活発になり、妊娠の可能性が高まります。