不妊治療の知識

10月のおはな

ピル

ピルとは?

名前はきいたことがあるけれど、詳しいことはよく知らない。きっとそんな人がまだまだ、たくさんいらっしゃることでしょう。
女性にとって望まない妊娠は、肉体的にも精神的にも大きな負担となります。そのため、妊娠、出産を女性自身でコントロールすることは、女性の体を守るためにも大切なことです。女性が自らの意志で行える避妊法として、日本でも低容量ピルが普及してきました。また、ピルを服用すると生理痛が無くなる、生理前の不愉快な症状が楽になる、お肌の調子が良くなる、などなどの効果が期待できます。最近では、避妊を目的として内服する方のみならず、このような効果を期待して内服している方が増えています。
ここでは、ピルについて知っていただきたい知識をご紹介します。

ピルの成分

ピルは毎日一錠ずつのむ避妊のための薬です。成分として、女性ホルモンである卵胞ホルモン(E)と黄体ホルモン(P)が含まれています。

ピルの効果

ピル(経口避妊薬)は正しく服用すれば、100%に近い避妊効果が期待でき、女性が自らの手で完全にコントロールできる避妊法です。また、ピルを内服すると、月経困難症が改善、月経前の不愉快な症状が改善、ニキビが治るなどの効果があります。

ピルは、以下の3つの働きにより、効果を発揮します。

  1. 排卵を抑制する。
  2. 子宮内膜を変化させる。(受精卵が着床しにくい状態にする。)
  3. 頸管粘液を変化させる。(精子が子宮内に入りにくい状態にする。)

 

ピルに含まれている卵胞ホルモン(E)と黄体ホルモン(P)の2つの女性ホルモンが視床下部に作用して、卵胞刺激ホルモン(FSH)および黄体形成ホルモン(LH)の分泌を抑制します。これにより、排卵がおこらなくなるのです。また、ピルには子宮内膜を変化させて受精卵が着床しにくい状態にしたり、子宮頸管粘液を変化させて精子の子宮への侵入を妨げたりするなどの避妊効果を高める働きがあります。


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他の避妊方法との比較


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ピルの種類
のむ錠剤の数の違い

ピルには、21日間のんで7日間休薬するタイプと28日間のみ続けるタイプ(7日間はホルモンを含まない錠剤)があります。どちらのタイプでも効果に差はありません。服用者の好みとなります。

ホルモンの含有量の違い

常に同じ量のホルモンが含まれる一相性ピルと、女性のホルモン変化に合わせてホルモンの量を変えている段階型ピルがありますが、避妊効果はどれも同じです。
一相性:マーベロン
段階型ピル:アンジュ、トライディオール、トリキュラー、シンフェーズなど

ピルの飲み方

飲み方は簡単です。シートに書いてある順番に従って、毎日一錠ずつ同じ時間帯に飲むだけです。

28錠タイプの飲み方 

シートに入っている錠剤を全部飲んだ後、次の日から新しいシートの錠剤を同じように飲みます。お休みはありません。

21錠タイプの飲み方

シートに入っている錠剤を全部飲んだ後、7日間錠剤を飲まない期間(休薬期間)をとり、その後新しいシートの錠剤を同じように飲みます。

飲み忘れた場合には

低容量ピルは避妊効果が認められるギリギリまでホルモンの量を抑えているため、飲み忘れると効果が低下します。

例:いつも飲む時間をPM9:00とした場合

(A)飲み忘れてから24時間未満の場合
気付いた時に飲み忘れた一錠を飲む。その後は通常通り、PM9:00に飲む。

(B)飲み忘れてからちょうど24時間後の場合
飲み忘れた前日分のピル一錠と本来飲む予定のピル一錠の合計二錠を飲む。その後は通常通り、PM9:00に飲む。

(C)飲み忘れてから24時間を超えた場合
服用を中止して、次の月経から新しいシートで再び服用を開始する。中止している間は、他の避妊法を使用する。 
(ただし、生理の周期を乱したくない場合は、他の避妊法を併用しながらそのまま予定通りのみ終える。)

ピルの副作用・副効用
ピルの副作用

ピルの主な副作用は、吐き気、嘔吐、乳房痛、頭痛、不正出血などの軽いもので、ほとんどの人は飲み続けていくうちに治まります。
ピルの重い副作用としては血栓症が知られていますが、低容量ピルでは様々な工夫によりホルモン量をできる限り少なくしているので、血栓症の起こる可能性はとても低くなっています。

ピルの副効用

ピルを飲んでいると避妊効果以外の好ましい作用、つまり副効用があります。低容量ピルのメリットとデメリットのバランスは、飲む人の年齢や健康状態、ライフスタイルなどにより異なります。一般的にタバコを吸わず避妊を希望する健康な人であれば、メリットがデメリットを上回ると言われています。

副作用(デメリット)

  • 吐き気、嘔吐、乳房痛、頭痛、不正出血  (主な副作用)
  • 血栓症
  • 乳がん、子宮頸がん

 

副効用(メリット)

  • 生理の周期が規則正しくなる
  • 生理痛が軽くなる
  • 生理の出血量が減少し、貧血が改善
  • 多毛症やニキビの改善
  • 生理前の不愉快な症状が軽くなる
  • 子宮内膜症の改善効果を期待出来る
  • 卵巣がん、子宮体がんの予防

 

ピルを飲んでいると乳がんや子宮頸がん(子宮の入り口にできるがん)になる確率がわずかに増加すると言われています。しかし、定期的に検査をうけていれば、血栓症やがんの早期発見は可能です。また、卵巣がんや子宮体がんになる確率は減少すると言われています。

ピルは誰にでも飲めるの?

病気や身体の状態によって、ピルを飲んではいけない場合や、注意して飲まなければならない場合があります。以下のチェック項目に一つでも該当する項目のある人は、まず、医師にご相談下さい。

  1. 乳がん、子宮がん、子宮筋腫である、またはその疑いがあると言われたことがある。
  2. 月経とは違う性器出血(不正出血)がある。
  3. 血管内に血の固まりができる病気(血栓症)である、または血栓症になりやすい体質と言われたことがある。
  4. 家族に乳がんや血栓症と診断された人がいる。
  5. 乳房にしこりがある。
  6. 最近、手術や出産をした。または、予定している。
  7. 肝臓、腎臓、心臓に障害がある。
  8. 血中のコレステロールや中性脂肪が高い。
  9. 血圧が高い。
  10. 血糖値が高い。
  11. 妊娠中に黄疸などの症状が現れたことがある。
  12. 妊娠または妊娠している可能性がある。
  13. 現在、授乳中である。
  14. 現在、医師の治療を受けている。または何か、薬を飲んでいる。
  15. 年齢が40歳以上である。
  16. タバコを吸っている。

 

性感染症(STD)の予防にはコンドームを使用してください。

STD とは主にSEXによって感染する病気のことで、エイズをはじめ梅毒、淋病、クラミジア感染症、性器ヘルペス、膣トリコモナス症、B型肝炎などがあります。ピルはSTDを予防するものではありません。これらの感染防止には、コンドームの使用が有効です。ピルをのんでいる間も、STDの予防のためには必要に応じコンドームを使用してください。
STDの検査は他の検査などと同時に行うことができるので、とくに特別な手間や時間はかかりません。STDは早期発見・早期治療が重要ですので、積極的に検査を受けるようにしましょう。

ピルQandA
Q1:ピルを内服すると太る?

A1: ピルを飲むと太るのではないかと心配されている人がいるかもしれませんが、食生活の変化や運動不足など他の原因で太ったのを「ピルの副作用」と結びつけている可能性もあります。特に、新しい低容量ピルではホルモンの量や種類に改善が見られ、ピルの服用が原因で太るという説は統計の上でも立証されていません。

Q2:ピルを内服するとニキビが治るって本当?

A2:ピルの内服を続けると男性ホルモンの働きが抑えられ、その結果ニキビが改善します。ニキビや吹き出物で困っている方にはお勧めしたい治療法となります。

Q3:ピルを内服すると生理痛が楽になるのですか?

A3:.ピルの内服を続けると排卵が起こらなくなり、結果的に生理痛(月経困難症)は改善します。ピルは月経困難症の治療にも幅広く用いられています。

Q4:.ピルは子宮内膜症にも効果があると聞いたのですが?

A4:ピルは排卵を抑制することによって子宮内膜症の改善効果があります。初期の子宮内膜症の治療としてピルはよく用いられています。

Q5:.月経前の不愉快な症状(PMD)に悩んでいます。ピルを始めた方が良いでしょうか。

A5:月経前になると、頭痛、吐き気、イライラなど様々な不愉快な症状が起こる事がありお悩みの方があります。月経前緊張症と呼ばれます。ピルの内服によってこれらの症状は随分と軽くなります。QOL(生活の質)を高めるためにはピルの内服は良い方法と言えます。