英ウィメンズクリニック

HANABUSA WOMEN'S CLINIC

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不妊治療の知識

不妊治療の知識

体外受精・胚移植法(顕微授精法も含む)の 8つのステップ

体外受精・胚移植法は次の8つのステップから成り立っています。

 

  1. 治療の準備(予備検査など)
  2. 排卵誘発治療(良質の卵子を育てます)
  3. 採卵(通常、麻酔を行います)
  4. 受精の成立(体外受精、顕微授精)
  5. 胚(受精卵)の培養
  6. 胚移植
  7. 黄体補充療法
  8. 妊娠判定(血液検査、尿検査)

 

(1)治療の準備(予備検査など)

実際の治療を開始する前に映像で見る不妊治療のページにアクセス頂き、動画の視聴をお願い致します。

(2)排卵誘発治療(良質の卵子を育てます)

1回の治療あたりの妊娠率を高める為には、良い卵子を複数個育てることが大切です。排卵誘発剤を使ってなるべく良質の卵を育てます。目標は受精卵4個以上です。受精卵が4個以上育てば、1回で妊娠出来る可能性が高くなるからです。排卵誘発治療に用いるお薬は、卵子を育てるHMG製剤、卵子の成熟を開始させるHCG、自然排卵を抑えるGnRHアナログとGnRHアンタゴニスト、プロゲステロンという5種類のホルモン剤です。GnRHアナログは通常、点鼻スプレータイプのものを使用します。排卵誘発法は次の通りに分類されます。

 

  1. アンタゴニスト法
  2. PPOS法
  3. ロングプロトコール、ショートプロトコール法
  4. マイルド法
  5. 完全自然周期法

 

1.アンタゴニスト法

月経周期3日目からHMG製剤の投与を開始し、卵胞が大きくなったところで排卵を抑えるアンタゴニストを開始します。アンタゴニストは通常3~5回使用します。

2.PPOS法

月経周期3日目からHMG製剤投与と排卵抑制のためのプロゲステロン剤の内服を開始し、卵胞が大きくなったところで採卵を行います。

3.ロングプロトコール、ショートプロトコール法

治療前周期の黄体期(ロング法)または月経開始日(ショート法)から点鼻スプレーを使用開始し、月経の3日目からHMG製剤の注射を7日~10日間ほど連日行います。点鼻スプレーは原則として、1日4回、およそ6時間おきに、片方の鼻にスプレー(1日4噴射)をします。このスプレーは採卵2日前の夜まで続けます。

4.マイルド法
通常月経3日目から排卵誘発剤の内服を開始します。場合により、HMG製剤の注射を2日~5日間ほど連日併用する事もあります。

5.完全自然周期法

一切排卵誘発剤などを使用せず、自然に発育する卵を利用して治療を進めます。お薬のアレルギーが心配な方などにメリットがあります。
以上の排卵誘発方法の中から、個々の患者様に最も適した方法を選択します。

(3)採卵

卵巣から卵子をいったん体外に取り出します。これを採卵といいます。HCG注射後、約36時間後に排卵が起こりますから、排卵が起こる前、つまりHCG注射実施日の2日後の朝8時~10時前後に採卵を行います。通常、局所麻酔を施します。発育卵胞が少ない場合には、痛み止めの坐薬だけで採卵を行う場合もあります。超音波を見ながら経膣的に卵胞を穿刺・吸引して卵子を取り出します。採卵した卵子はすぐに培養液の入ったディッシュに移され、培養器(混合ガス低酸素培養器)の中に保管されます。採卵は約15分で終了し、ベッドでお休みいただいた後にお昼までに帰宅していただけます。

(4)受精の成立(体外受精、顕微授精)

ご主人には予めお渡します。精液容器に、精液をご自宅にて採取し、持参していただきます。また、精液を予め凍結して保存しておく方法もございます。精液は、培養液にて遠心分離・洗浄し、密度勾配遠心分離法で運動良好精子を選択回収します。
こうして集めた精子を、卵子をいれたシャーレの中におよそ5~10万/mlの濃度になるよう調整して加えます。これが媒精です。 精子の状態が弱く、受精能が低いと考えられる場合には顕微授精治療(ICSI)を行います。これは、顕微鏡で見ながら、極細のガラス針に精子を1個だけ吸い込み、この針を卵子に穿刺し、精子を卵子の細胞質の中に注入する方法です。乏精子症患者様でも精子が1個でも見つかれば、この顕微授精により妊娠のチャンスがある時代となりました。
媒精の翌朝の観察で前核が2つ観察される卵が受精卵です。前核を有する受精卵を前核期胚といいます。
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(5)胚(受精卵)の培養

 


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(6)胚移植:胚移植:初期胚移植、胚盤胞移植、SEET(シート)療法
初期胚移植

この受精卵を培養器の中でさらに培養します。採卵後2日目から3日目に4細胞から8細胞になった胚を初期胚と呼びます。この初期胚1個を移植カテーテルを用いて子宮内に移植を行うことを初期胚移植といいます。胚移植には殆ど痛みを伴いませんので麻酔は行いません。胚移植後は移植した胚が子宮の中に留まるよう十分に休んで頂きます。通常、残りの受精卵は初期胚の状態で一部凍結保存し将来に備えます。この時点で凍結しなかった初期胚はさらに2~3日培養を続け、100〜200細胞の胚盤胞となったところで凍結保存し将来に備えます。当院ではこの胚盤胞を培養したときに使用した培養液を凍結保存しておき、将来のシート法(SEET)にそなえます。

シート法(SEET)

初期胚移植で妊娠できた場合には、凍結した胚はお二人目の希望があるまで保管いたします。妊娠できなかったときには凍結しておいた胚での妊娠を目指します。ここで、お勧めしたいのが当院が発案したシート法(SEET)です。シート法(SEET)ではまず、予め凍結しておいた培養液を先に子宮の中に注入します。この培養液はご本人の受精卵を培養した培養液であり、受精卵のエキスをたっぷりと含んだものです。この受精卵のエキスで刺激され、妊娠の準備を整えた子宮に、凍結しておいた胚盤胞を1個融解して移植します。これがシート法(SEET)です。通常、受精卵のエキスを注入してから3日後に胚盤胞を移植します。

2段階胚移植

初期胚移植やシート法(SEET)で妊娠にいたることが出来ない場合、当院と滋賀医科大学野田洋一名誉教授で協同開発した2段階胚移植をお勧めすることがあります。これは、まず4〜8細胞期の初期胚を1個移植しその2〜3日後に胚盤胞を1個移植、合計2個移植する方法です。移植する胚は合計2個となります。
多胎(双子)のリスクが伴う治療ですので、最初からお勧めすることはありませんが、治療の成果がなかなか得られない場合にはお勧めする選択肢の一つとなります。

(7)黄体補充療法

移植後の受精卵が着床を開始する為には黄体機能が大切です。ちなみに黄体機能とは、排卵後の卵巣からの黄体ホルモン及び卵胞ホルモンの分泌機能を指します。この2種類のホルモンは、子宮内膜に作用して子宮内膜を着床準備状態に調整し、着床後は、胚の発育を助ける作用を持っています。当院では、黄体補充療法として、プロゲステロン坐薬を使用します。
ルトラール、デュファストンやプレマリン、エストラダームなどを用いることもあります。どの方法を選択するかにつきましては、個々の患者様の黄体機能を念頭におき、担当医が皆様にご提案致します。

(8)妊娠判定

採卵後15日目頃、外来にて妊娠成立の有無を判定致します。通常、血液検査にて判定致しますが、まれに尿検査で判定を行うこともあります。妊娠成立を確認出来ましたら、妊娠が安定するまで黄体補充療法を継続して参ります。
実際の手順は以上のようですが、これは原則的なもので、患者様の状態により上記とは異なることもありえますのでご了承下さい。実際の手順については、その都度スタッフがご説明致しますのでご安心下さい。

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